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16章:ヴァリアント・ザ・オリジネーション(12)

 話しかけてきたのは、うっすら散ったそばかすがチャーミングな赤毛の少女だ。

 たしか、由依のホストファミリーである。


「そうだけど」

「あたしはアニス。よろしくね」

「よろしく」

「ふうん……」


 アニスは無遠慮にオレの顔をまじまじと覗き込んだ。


「昨日、由依がとても褒めていたからどんな人かと思ったけど、案外普通ね。日本人特有の子供っぽさがないくらいかな」

「初対面なのに随分じゃないか」

「だって、あんな美少女に好かれる男がどんななのかって、気になるじゃない?」

「ちょっとアニス! 何言ってるの!」


 由依があわててアニスの口を塞ごうとする。


「えー? 好きならそう言えばいいじゃない」


 あっけらかんと言うアニスである。

 気づいてみれば、クラス全員がその会話に耳をそばだてている。


 由依もそれに気付いたようで、急にすまし顔になり、静かに髪をかきあげた。


「青春だなあ」


 アニスはそんな由依をにやにや見ている。


[やっとみつけた。ねえカズ、コロッセオはどう?]

「えっ!?」


 オレに向かって、背後から突然かけられた幼さの残るイタリア語に、由依は警戒態勢をとった。

 声の主はシスティーナだ。

 由依が驚いた理由は、声をかけられるまで気配を察知できなかったからだろう。

 オレですらかなり近づかれるまで気付かなかったくらいだ。

 逆に、気配を察知できるのが当たり前になってきているということなのだから、褒めるところだろう。


[やあ君、ホストファミリー、ではないよね。どうしたんだあ?]


 なぜかここぞとばかりに、イタリア語でわりこんできたのは、班分けの時に撃沈した、自称イタリア語使いの彼である。

 一言話しただけで、由依にドヤ顔を向けている。

 オレが話せないところを助けたとでも思っているのだろうか。


[せっかくだからワタシも来ちゃった。一緒に見てまわっていいでしょ?]


 システィーナはイタリア語の彼を無視し、不安げにオレの顔を見上げてくる。


[ごめんよ。ゆっくり、話してくれるかな?]


 イタリア語の彼は、必死でシスティーナに振り向いてもらおうと話しかけるが、彼女はまったく取り合わない。


[なあってば!]


 イタリア語の彼が少し大きな声をだすと、システィーナは怯え、オレの影に隠れてしまった。


「おいおい、旅先でいきなり現地人を怯えさせるとか、やるじゃないか」

「くっ……」


 オレの皮肉に、イタリア語の彼はぎっと口を引き結ぶ。


[ホストファミリーの家族だし大丈夫じゃないかな。そのへんのルールはゆるそうだし]

[ほんと!? やったあ! カルロも文句ないわよね]


 イタリア語でそう言ってやると、システィーナはぴょんと飛び上がって喜んだ。


[もちろんさ。システィーナが久しぶりに楽しそうなのが嬉しいよ]


 ぎゅっとオレの腕に抱きついてきたシスティーナをみたカルロは、優しく微笑んだ。


ここまでお読み頂きありがとうございます。

続きもお楽しみに!


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