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16章:ヴァリアント・ザ・オリジネーション(8)

「よく気付いたな」

「まあね。これでもボクは現場タイプだからね」


 カルロはそう言いながら、チラリと家の屋根を見た。

 屋根の上に2つの魔力がある。


「その力を見せてもらえそうかな?」

「せっかくかの有名なナンバカズがイタリアまで来てくれたんだ。おもてなししないとね」


 そう言ったカルロがパチンと指を鳴らすと、家の敷地が結界で覆われた。

 神域絶界まで完全にとは言わないが、かなり強固なものだ。

 外側からは中で何が起きているか、感知することは難しいだろう。

 いつでも展開できるよう、大量の魔力がこの敷地に溜め込まれている。


 自宅になぜこんなものがしかけられているのか。

 まるで敵を誘い込む罠みたいだ。


 理由はいくつか思いつくものの、考えたところで答えが出るものではない。

 せっかくだから、この状況を利用させてもらうことにする。


 屋根の上の2体が襲ってくる気配がないので、まずはオレの『荷物』の方を処理するか。

 オレは手提げ鞄から、飛行機の中でヴァリアントを閉じ込めた結界を取り出した。

 それを空中へ放り投げ、中に仕込んでおいた火種に魔力を送り込む。

 ヴァリアントの肉片を焼き尽くして終わりのはずだったが――


 結界の内側から強烈な圧力が発生した。

 ヴァリアントが死ぬ瞬間、残った魔力が爆発したのだ。

 あちらの世界の魔族でこういうタイプを何度か見たことがある。

 それなりに強固に展開したはずの結界が、一瞬手のひらサイズから人間の頭ほどに膨らんだ。


 おいおい……今の、飛行機くらいなら鉄屑1つ残さずに吹っ飛ばせる威力だろ。

 もしあのヴァリアントが誰かの命令で動いていたとしたら、『飛行機で自由に喰っていいから、ヴァリアントを倒せるくらいの人間に邪魔されたらもろとも自爆しろ』って命令でも受けていたってところか?

 本人に自覚があったかはわからないし、的外れな想像かもしれないが。

 異世界で、そうしてオレに数百体の魔族爆弾を送りつけてきた魔族幹部がいた。

 思い出したくない戦いの1つだ。

 とにかく、空の上で着火しなくてよかった。

 被害を出すつもりはなかったが、爆発がさらに強力なものだったら、どうなっていたかわからない。


「へえ……凄い技術だね。強力な結界もそうだけど、その内側の魔力を操作するなんて、どんな仕組みなんだい?」


 カルロが心底感心したように目を細めた。


「言ってる場合じゃないと思うが?」

「たしかに。楽しい会話とディナーは、アレを始末してからだね」


 まるでオレ達の会話を待っていたかのように、屋根の影から2体のヴァリアントが現れた。


 漆黒の翼を持つそれのうち一体は槍、もう一体は剣を手に持っている。

 女性の形をしており、身につけている鎧もダークヴァルキリーに酷似している。


「あれが本場のダークヴァルキリーか」

「それが出るのは北欧だね。ボク達はアレを堕天使タイプって呼んでる。でもまあ、似たようなものさ」


 言われてみれば、ダークヴァルキリーよりも天使に近い形状をしている。


 会話をしながらもカルロは堕天使から目をそらさない。


「ギャギャア!」


 堕天使のうち槍を持った一体が、カルロに襲いかかった。

 スピードだけなら、ダークヴァルキリーよりも少し速い。

 加勢しようかとも思ったが、カルロの余裕そうな顔を見るに、不要だろうと判断する。

 

 襲い来る堕天使に呼応するように、カルロに銀の翼が生えた。

 いや、これは翼の形に伸びた髪だ。


ここまでお読み頂きありがとうございます。

続きもお楽しみに!


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