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15章:赤のフォーク(11)

 オレは2つの魔力弾をオオゲツヒメを左右から挟み込むように撃ち込んだ。


「まさか魔法!? あなた、何者ですか!」


 オオゲツヒメは驚きながらも右の魔力弾を手で食べ、左の魔力弾を避けた。

 避けられた魔力弾は、背後の鉄製扉を吹き飛ばす。


 次は炎と氷の槍を同時に正面から撃ちだす。


「器用です……ねっ!」


 今度は二本ともまとめて左手に食べられた。


「なるほど。喰うことによって吸収できるのは左手だけ。対象の属性はまざっていても関係なしか」


 炎と氷については、属性魔法といっても、結果として出現しているのは物理現象だ。

 これは予想通りではある。


「まさかこれほど上手く魔法を使える人間がいるだなんて……。『組織』がこの施設を掴んだと言うのですか? 日本の組織はまだ機能不全が続いているはず……。まさか北欧系が『畜産場』の調査にまで乗り出したとでも?」


 色々考えてるところ悪いが、ここを見つけたのはたまたまなんだよな……。

 あえて言う必要もないので黙っておくが。

 オレの顔を知らないのは、ある意味好都合だ。

 すぐに逃げられると、少々めんどうだからだ。


「そういうあんたはヒミコの部下か?」

「やはり事情に詳しいようですね……。念の為、死んでいただきましょう!」


 問答無用かよ!


 オオゲツヒメがこちらに『右の』掌を向けると、右手と同じように口の形に変形させたその穴から、魔力弾を打ち出した。


 オレの放った技だ!


 耐えるのは容易いが、この位置で爆発させるとポッドの中の人間が何人か巻き添えになる。


 オレは魔力弾を手で受け止め、少しずつ分解していく。

 破壊力に変換された魔力は、再び魔力へと分解され、光の粒子となって虚空に消えた。


 喰った技をコピーできるのか?

 いや、魔力パターンまでオレのものとそっくりそのままだった。

 吸収せずに打ち返してきたのか。

 吸収しなかったのか、できなかったのかはわからないが。


「一度発動させた魔法を分解消滅させたのですか? その技術はいったい……」


 情報を引き出したいところだったが、あまりひっぱるとポッドに被害が出そうだ。

 このポッドをどうするにせよ、今壊すわけにはいかない。


 オレは黒刃の剣を取り出し、オオゲツヒメに斬りかかった。

 こちらに伸びてくる右腕を避けつつ斬り落とす。

 これでもう吸収はできまい。


 続けてオオゲツヒメの本体を一刀両断する。

 左手で防御する彼女だったが、その防御ごと真っ二つに斬り裂いた。


 もう少しやるとも思ったのが……いや、油断は禁物だ。

 いつも通り焼いておこう。


「カズ! すごい魔力を感じたけど一体なにが……って、もう終わったみたいね」


 オレがオオゲツヒメを結界で囲い、魔法で焼いていると、双葉を抱きかかえた由依がオレの空けた穴から飛び降りてきた。


「お二人も事情をご存じなんですの……?」


 華鈴さんは何から訊いたものかと、目を泳がせている。

 さて、どう説明したものか……。


「カズ!」


 オレが視界の端で何かが動いたのに気付くのと、由依が声を上げたのは同時だった。


 斬り落としたオオゲツヒメの右腕が口を開け、ポッドに飛びかかっていたのだ。



ここまでお読み頂きありがとうございます。

続きもお楽しみに!


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