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15章:赤のフォーク(10)

「これはどういうことかしら、山形さん」


 出現した魔力の方を見ると、そこには大正時代の女中を思わせる服装の女性が立っていた。

 歳は20代中盤、特徴と言えば穏やかな笑顔くらいだろうか。

 普通の服装であれば、街ですれ違っても全く印象に残らないだろう。


 しかし、その体から放たれる魔力が、彼女が人間ではないことを物語っている。


「六条家のメイドじゃあないよな?」

「うちの制服ではありませんわね」


 華鈴が首を横に振った。

 趣味でこの格好してるってことか?

 つながり先をつかめればと思ったのだが、そう簡単ではなさそうだ。


「オオゲツヒメさんよう! 話が違うじゃねえかよう! 簡単で儲かる仕事だっていっただろう!」


 オレに踏まれた山形が、涙でぐちゃぐちゃになった顔でわめいている。

 こいつがオオゲツヒメか。

 魔力だけで言うなら、ヒミコやぬらりひょんのようなボスクラスには及ばない。

 だが、低鬼やダークヴァルキリーと比べれば圧倒的に強くはある。

 ただの連絡係なのか、それとも特殊能力持ちか。

 いずれにせよ油断をする理由はない。


「あら、簡単だし儲かったでしょう? 危険ではないと言った覚えもありませんし」

「ちくしょう! 騙したな!」

「だから騙してはいないと言っているでしょう? やかましい人ですね」


 穏やかな笑顔のままめんどくさそうな声を出すという、器用なマネをしたオオゲツヒメは、左の掌を山形に向けた。


 攻撃が来る!


 そう判断するよりも先に体が動いた。

 オレは大きく後ろに飛び退きつつ華鈴さんを抱きかかえ、縦長の通路の端まで下がる。

 同時に山形を結界で保護する。


 オオゲツヒメの腕が、文字通り山形へと伸びた。

 ただ伸びただけではない。

 手首から先が巨大な口の形に変化し、山形の頭部へと迫る。


 だが多少の魔法や攻撃程度なら、結界が問題無く弾き――


 ――バクンッ。


 オオゲツヒメの手が結界を食い破り、そのまま山形の頭を丸呑みにした。


 ばかな!

 障壁を破るにしても、もっと手応えがあっても良いはずだ。


「なんて不健康な体ですか。不味すぎです。でも、魔力は極上でしたよ」


 オオゲツヒメがオレに向かってにこりと笑う。


「これはもう、トリックとかではないですわよね……」


 驚く華鈴さんはいったん無視し、頭を巡らせる。

 障壁を魔力ごと喰われた?

 オレの障壁を喰った分、魔力が増大したように見える。

 魔法ならなんでも喰えるとは思えないが、少々めんどうだ。


 喰えるのは手だけなのか。

 一度に喰える最大容量に限界はあるのか。

 魔力を与えまくれば、許容量オーバーにできるのか。


 異世界でこのタイプとも何度か戦ったことはあるが、対処方法が個体の特徴によって違うんだよな。


 少し探ってみるか。



ここまでお読み頂きありがとうございます。

続きもお楽しみに!


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