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4章:パパ活ですか? いいえ、援交です。(2)

「えへへ。登録されてるのは、お互いのアドレスだけだね」


 由依はピッチをその大きな胸にぎゅっと抱きしめた。

 制服の上からでもわかるすごい肉感だ。

 JKを子供と見るべきか、同年代とみるべきかなんとも脳がおいつかない。


「うっわ。ホントに難波とランチしてるんだぁ。チョベリバってかんじ~。学校一の美少女もおしまいだよね?」


 そんな死語――いや、流行語とともに現れたのは、クラスのギャルだ。

 茶髪に派手目なメイク、そしてルーズソックスである。

 ルーズ懐かしいなあ。雨の日とか汚れてきったないんだよな。

 そこそこの進学校には珍しい存在で、教師陣には目をつけられているようだ。

 似たような格好をした女子を二人引き連れている。


 なんなの? こういうタイプって、子分を二人連れて歩く習性でもあんの?

 そんな、未来では絶滅するギャルの名前はたしか……


「鬼瓦」

「まつりを名字で呼ばないでよ! かわいくないんだから! ほんっとサイアクな名字!」

「えっと……じゃあ、鬼まつり?」

「変な略し方をするな! なんなの!? 難波のくせに調子にのって!」

「他人の昼飯を食う相手にどうこう言う方が調子にのってると思うが」

「まつりはいいんだよ!」

「なんで?」

「なんでって……え? えっと……なんでもよ!」

「全く説明になってないが」

「あんたに説明する必要なんてないでしょ!」

「できないだけのくせに?」

「くぅ?! とにかく! そんな男と付き合うようじゃあ、白鳥由依もおしまいってこと!」


「つ、つきあってないわ! ……まだ」


 由依は赤らんだ顔を手で押さえている。


「お、乙女かよ……。こんなオタクにマジ惚れなの……?」


 鬼瓦のヤツ、そこまで引くか?

 あと、オレがオタクなのってそんなにバレバレだったんか。


「つまり、ここぞとばかりにマウントをとりにきたと」

「マウント……? えっと……海?」


 器用な間違えかたをするギャルである。


「あんたの頭はマウンテンゴリラ以下だってことだ」

「これでも赤点とったことないし!」

「え?」「マジ?」


 とりまき二人の驚きは、赤点をとったことがないことに対してなのか、自分達は赤点まみれだということなのか。


「誰に惚れようが関係ないだろ」

「え、ほ、惚れてないよ……?」


 真っ赤な顔で言われても説得力がないので、悪いが由依のことは無視させてもらおう。

 オレだって恥ずかしいんだからね!


「誰とつきあってるかなんて、女子の間じゃ重要じゃん。そんなんだからモテないんだよ!」


 いつの時代になっても女子の言うことは変わらんなあ。

 やれIT企業の社長と結婚しただの、やれイケメンと結婚しただの、マウント合戦がSNS上で繰り広げていたのを思い出す。


「今まさにオレを好いてくれている女が隣にいるわけだが?」

「ちょ!? え!? ふぁ!?」


 こんなにうろたえる由依は初めて見た。

 悪いがフォローする余裕はないぞ。

 オレも赤くなる顔を冷気魔法でむりやり冷やしてるくらいだからな。

 鬼まつりをやりこめるためとはいえ、なんてことを言ってるんだオレは。


「よくそんな恥ずかしいこと言えるよね!?」


 そこだけは同意しよう。


「つまり鬼まつりは、男はアクセサリーであり、自分の価値は男でしか表せない無能だと言うわけだな」

「なにその言い方! ちょむかー!! あとまつり! 鬼まつりじゃないから!」


 あ、そのフレーズも懐かしい。


「キレるってことは議論終了、負けを認めたってことでいいよな?」

「あ、あんたなんかに負けてない! てっぺんから落ちた女子がどうなるか、思い知るといいよ!」

「わざわざ忠告しにきてくれるなんて、良いところもあるんだな」

「く~~~~っ!」


 鬼まつりは歯をギリギリ鳴らしながら、おともを連れて立ち去っていった。


 ブラック企業時代に相手にしたクソみたいな取引先に比べれば、文字通り子供だぜ。


 くぅ……恥ずかしかった。

 まだ顔が熱いぞ。


ここまでお読み頂きありがとうございます。

皆様のおかげで、ジャンル別月間5位に入ることができました!

ありがとうございます!

続きもお楽しみに!


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― 新着の感想 ―
[一言] あぁ、時代 されど時代 かつての時代
[一言] 主人公パズドラの株100万円分くらい買ったら億万長者だな。
[良い点] 作中の時代に生まれた子が、もう二十歳ですよ?(遠い目
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