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14章:ヴァリアントが見ている(6)

 アウトになるはずのコースだったボールは、強烈な回転により急角度で落下。


 ――ダァンッ!


 激しい音とともに、ライン際ギリギリに吸い込まれた。

 アウトと判断し、とっさに避けた赤崎だったが、そのボールの軌道を見て目を丸くしていた。


「「ナイッサー!」」


 チームメイトがハイタッチをしてくれる。

 こういうの、ちょっといいかも。

 自分が活躍できるからこそ思うことだが。


 続いて、無回転の高速ブレ球、狙ったネットインなどを駆使し、オレだけで10点を取った。

 最後は一球目と同じ球を赤崎に上げられ、オレのサーブは終了となった。

 そのまま、サーブやブロックでも手加減しつつほどほどの活躍をし、チームを勝利に導くことができた。


「難波君! すごいじゃないですか! 今からでもバレーボールを始めてみませんか?」


 試合が終わった後、部長が興奮した様子でかけよってきた。

 ややゴツめの体に爽やかな笑顔の好青年だ。


「いやいや、もう2年の秋ですよ」

「高校での活躍はどうかわからんが、まだまだのびしろがあることを考えると日本代表だって夢じゃありませんよ!」

「他校なのに随分推しますね」

「バレー界の発展に寄与できる人材を埋もれさせておくのはもったいないですから!」


 そこまで買ってくれるのは嬉しいが、本気で部活をやる気はない。

 それこそチートみたいなものだし、何より由依達を護るのが疎かになってしまう。


「考えておきます」


 とりあえずその場をかわすためにそう言った瞬間、女子側のコートから歓声が上がった。


 横目で見てはいたが、味方がレシーブをミスして大きく跳ねたボールを、由依が壁を三角跳びしてコートに戻したのだ。


 しかし相手チームもなかなかのもので、由依がコートに戻る前に、速攻で返してきた。

 再び乱れるレシーブ。


「任せて!」


 由依はかけ戻りながら、コートの外から大ジャンプ。

 翼が生えているかと思えるほどのキレイな跳躍から、相手コートへと強烈なスパイクを叩き込んだ。


 ふわりと着地した由依の胸が大きく揺れ、男子達の生唾を飲み込む音が聞こえてくる。

 育ちの良さそうな生徒達だが、そこはやはり男子だな。


「君たち……本当に未経験なんですか?」


 部長がオレの横で口をあんぐり開けている。


「そうですよ。ちょっと運動神経がいいだけです。試合のセオリーとかはわかりませんしね」

「ちょっとどころではない気がしますが……」


 そんなこんなで部活体験の時間は楽しく過ぎていった。


 もちろん、ただ遊んでいたわけではない。

 体育館内にいる全員の目は見たし、校内の魔力探知も授業中や部活をしながらじっくり進めていた。


 とりあえずの調査にひっかかるようなヴァリアントはいないようだが……。


 前情報によると、被害者は校内の生徒だ。

 そうなると、まず疑うべきは、学校関係者かその家族である。

 ヴァリアントに成り立ての場合、最初から知能のあるタイプでも、最初に喰うのは身近な人間であることが多いからだ。

 これは純粋に人間の行動範囲と確率の問題なので、必ずしもそうとは限らない。

 だが、ヴァリアント関連はどうしても手がかりが少なくなるため、セオリー通りに攻めるしかない。


 魔力を使ったざっとした調査にひっかからないとなると、地道にやるしかないわけだ。

 となると、情報源になりそうなのは黄島だな。


ここまでお読み頂きありがとうございます。

続きもお楽しみに!


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[気になる点] >続いて、無回転の高速ブレ球、狙ったネットインなどを駆使し、オレだけで10点を取った。 時代設定(90年代半ば)からすると、ネットインはサーブミスになるかと。 ルール改正は1999年だ…
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