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【書籍化&コミカライズ2本】異世界帰りのアラフォーリーマン、17歳の頃に戻って無双する  作者: 遊野優矢


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14章:ヴァリアントが見ている(5)

 体育館は男子バレー部と女子バレー部が半分ずつ使っていた。

 オレと由依は支給された学校指定のジャージに、部員達はユニフォームに着替えた。

 見学と聞いていたが、体験入部という形になるらしい。


 女子バレー部のユニフォームはブルマタイプだ。

 学校指定の体操着は短パンなどに移行した時代ではあるものの、ユニフォームにはまだブルマタイプが残っていたころだ。


 青井はさすがに似合っているが、それ以上に目を引いたのは、ポニーテールの由依だ。

 周囲からため息が漏れ、体育館にいた全員が注目するほどの美しさである。

 ジャージにTシャツだけで、ここまで注目を集められるのだからさすがとしか言いようがない。


「バレーボールの経験は?」

「授業でやった程度だな」


 赤崎の問いに、正直に答える。

 授業以外だとマンガの「スパイクナンバーワン」と「はいきゅーぶ」で得た知識がほぼ全てだ。


「そうか。とりあえず様子を見るから、まざってくれ。練習内容は見ていればだいたいわかるはずだ」

「あいよ」


 体育会系の部活などオレには合わないと思っていたが、意外に楽しいものだった。

 体操に始まり、サーブやレシーブの基礎的な練習から入ったのだが、特に楽しかったのがサーブだ。

 交代しながら次々にサーブを打ち込んていくのだが、最初の人生とは違って、自分の体を思った通りに動かせる今なら、魔法なしでもなんでもできる。


 オレは順番がまわってくる度、コートの隅にサーブを打ち込んでいく。

 四隅を順番にねらって3周したところで、赤崎に声をかけられた。


「もしかして、狙ってやってるのか?」

「まあな。楽しいなこれ」

「マジか……」


 オレの回答に目を丸くした赤崎は、少し思案していたが、部長らしき生徒のところへ走って行った。

 ちょっと調子に乗りすぎただろうか。

 経験者だとでも言っておけばよかったか。

 かといって、みんなの邪魔になるほど下手なフリをするってのもな。


 しばらく見よう見まねで練習に参加していると、部内試合が始まった。


「難波も参加してみてくれよ」

「いいのか?」

「あんな精度のサーブをみせられちゃな。勝負してみたくなるだろ」


 赤崎は今日一番良い顔をしている。

 さっき部長のところへ行ったのは、その許可を取りにいったのだろう。


「わかった。ルールはなんとなく把握してるって程度だから迷惑をかけるかもしれないが、よろしく頼む」

「知らないことがあったらやりながら覚えればいいさ。こちらこそよろしくな」


 これは無下にするのも気が引ける。

 あくまで普通の人間レベルに力をおさえつつ、良い試合にしよう。

 さすがに全力を出すと、サーブの時点でボールが弾けて無くなるので、手加減は必要だが。


「ごきげんよう難波君。一緒のチームになれて光栄だよ」


 即席チームメイトになった部員はこんな挨拶をしてくれた。

 これがイケメンキザキャラからではなく、普通の生徒からナチュラルに出てくるというのだからおそろしい。


「こちらこそよろしくお願いします」


 相手は一年生のようだが、つい敬語になってしまう。


 試合はオレのサーブからだ。

 相手コートの後衛にいる赤崎が、掌を上に向け、かかってこいというジェスチャーをする。


 オレは赤崎の顔の高さに向かってサーブを打ち込んだ。


ここまでお読み頂きありがとうございます。

続きもお楽しみに!


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[一言] 赤崎の顔の高さに向かってサーブを打ち込んだ 顔面レシーブ確定じゃねーか
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