13章:コンプリートブルー(18) SIDE 安西
SIDE 安西
オレはベッドにうつぶせに横たわる女の躰にそっと手を触れた。
「あふっ……」
小さく艶やかな声を漏らし、びくんと震える10歳近く離れた女の躰を見ると、一度果てたオレの体が再び反応する。
オタクの男どもが熱を上げる少女を征服するこの瞬間。
たまらなく興奮する。
「はぁ……はぁ……今日もまた、アイちゃんのこと誘ってたでしょ」
「何のことだ?」
「ごまかしてもダメよ。あたし『達』だけじゃ満足できないの?」
この陽山詩織という女、オレが別の声優にも手を出していることに気付いているのか。
だからどうこうするつもりはないようだが。
割り切った『ビジネス』な関係は、オレにとって最も望むところだ。
「オレを独り占めしたいのか?」
「ばーか。アイちゃんには手を出さないでって言ってるでしょ」
「手を出さないが、仕事も振らない。だろ?」
「ふふっ……」
23の小娘が、随分と妖艶に笑うものだ。
今は事務所の方針もあるだろうが、数年したら悪女の役で使ってみるのも面白い。
「約束は守ってやるよ」
正直、冷泉アイはめちゃくちゃ抱いてみたい。
あの強い意志を持った瞳が歪むのを想像するだけで興奮が抑えられない。
「そのわりに、あなたがオーディションした作品に出てるみたいだけど?」
「上のねじこみには逆らえんさ」
「ふーん、そういうことにしといてあげる」
「そこまでして冷泉アイに負けたくないかね。怖い怖い」
「その怖いものを喰い物にしてる人がよく言うわ。まんじゅう怖いってとこかしら?」
「いいや、本当に怖いと思っているさ」
いつ寝首をかかれるかわかったもんじゃない。
とはいえ、暴露されて被害が大きいのはアイドル声優側の方だがな。
「とにかく、あなたはあたしを使っておけばいいの。あたしほど『上手い』娘はそうそういないと思うけど?」
陽山はオレの胸に体を預けると、その手をそっと下半身に這わせていく。
「そりゃあ芝居の話か? それとも――おほっ」
たしかに上手い。
何人もの声優を抱いてきたが、処女からここまで上達した女はいなかった。
「でしょ? らっらら、わらしにらまっれおしごろふっれわいいろよ」
そういう陽山の目が、ぎらりと禍々しく光った気がした。
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