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3章:神って欲望にまみれたヤツ多いよな(7)

「ふむ……今度のドアは随分と欲望に忠実な人間のようだな」


 加古川だったものは、2メートルを超えるその体躯で腕組みをし、ずっしりと構えている。

 筋肉でぱんぱんになった腕と足は、世紀末に現れる救世主のように、服を内側から破っている。

 そういや、今って世紀末なんだよな。


「ドア? お前は人間を触媒にして現れたというのか」

「んん? 下っ端か? 何も知らんようだな。俺様と長く戦えれば、ヴァルハラの土産に教えてやってもいいぞ」


 にやりと笑うその顔には、自信が充ち満ちている。


「随分とサービス良いじゃないか」

「そんなセリフは、トール様のコレをどうにかしてから言うんだな!」


 トールと名乗った男は、右足をドシンと踏みならした。

 すると、足から出現した雷が荒れ狂い――


 ――ドガアンッ!


 道場をまるごと吹き飛ばした。

 視界を覆った煙が晴れると、あたりは焼け焦げた木材となった道場の壁が散乱している。


 強化素材で作られた道場が跡形もない。

 そこらの爆弾なんてメじゃない威力だ。

 それも、爆発ではなく、雷撃でだ。

 衝撃もかなりのものだが、結界を張り遅れていたら、オレはともかく由依は感電死していただろう。


「ほう……ミョルニルを無傷で耐えるのか」


 瓦礫の中に立っているのは、オレと由依、そしてトールだ。


「けほっ……なに今の……。ろくなタメもなしに信じられない威力だわ……」


 由依は咳き込みながら、半歩あとずさった。

 ヴァルキリーには向かって行った彼女がだ。

 ヤツの強さを肌で感じ取ったか。

 敵の強さがわかるだけでも優秀だ。


「由依、これだけの爆発だ。屋敷の人間が飛んでくるだろ?」

「普段からかなりの音で修行をしてるけど、さすがに今の爆発はマズイわね。カズがここにいること、当然家の人間には言ってないから……」


 オレの存在が由依の家族にバレて、良いことは何もない。

 金銭的な意味で利用できるかもしれないが、味方になってくれるとは思えない。

 ならば、オレというカードは由依の無事のためにとっておくべきだ。


「何分で来る?」

「屋敷から2キロは離れてるけど……五分かからないと思うわ」


 なるほど、あまり引き延ばせないな。


「北欧神話の神、トールだな? のんびりしている時間はなくなった。さっさと始めよう」

「無礼なヤツだ。だがオレ様はそんなことは気にしない。貴様が一撃を耐えられるたび、一つずつ教えてやろう」


 とっととこの場を離れないと、監視カメラにダミー映像を流してくれた由依の努力が無駄になる。


 とはいえ、トールと言えば、北欧神話の中でも最強クラスの武を持つ有名な神だ。

 ゲームの知識だが。

 こいつからなら、それなりの知識を引き出せるだろう。


 こんなチャンスはそうそうないはずだ。

 ギリギリまで粘ってみるか。


ここまでお読み頂きありがとうございます。

続きもお楽しみに!


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― 新着の感想 ―
[一言] カズは、精神年齢的には、60歳近いんですよね? それなら、人生経験も豊富だろうから味方=無条件で協力してくれる人(達)なんて、甘い事考えてませんよね? 本来は、ギブアンドテイクやwin …
[良い点] 更新お疲れ様です。 [一言] トールはハンマーだったと思っていたので、まさか足で攻撃出来るとは!
[一言] 由依の家族にバレたとして、なんの問題があるのでしょうか? 由依の家族が、カズを社会的にや物理的に潰しに来たとして 殺さないまでも、呪い系の物か魔法で、わかりやすく首輪を すれば、いいだけだ…
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