3章:神って欲望にまみれたヤツ多いよな(6)
もと保健委員だったダークヴァルキリーは、その手に槍を生み出し、こちらに突っ込んできた。
顔まで昨晩のダークヴァルキリーと同じになっているのは、ある意味助かる。
神器に応急措置をしたとはいえ、由依に大技を使わせるのはできるだけ避けた方が良いな。
この先生き残るためには、実戦経験を少しでも積ませたいところだが。
オレは由依の前に出ると、右手を軽く振った。
するとその手に片刃の長剣が出現した。
黒い刀身が鈍い光を放っている。
数々の強敵を屠ってきた、オレが自分のためだけに創った武器だ。
だから、名前などない。
オレは向かってくるダークヴァルキリーに対して剣を縦に振り抜いた。
ダークヴァルキリーはオレとすれ違う形となり、背後で縦に真っ二つになった。
オレは振り向かず、左の掌をダークヴァルキリーに向け、そこから出現させた黒い球体で彼女を包み込んだ。
――ヴンッ
鈍い音とともに黒い球体はダークヴァルキリーごと消滅した。
「一瞬で……その剣、神器よりも強いというの?」
「本物の神器ってやつは見たことないが、少なくともレプリカよりはずっとな」
「それに最後のは、やっぱり魔法?」
「範囲内の物質を分子レベルで分解する魔法だ。魔法耐性が強い相手には効かないが、斬ったあとなら行けると思ってな」
「分解って……すご……。前もそうだったけど、呪文詠唱なんかはいらないんだね」
「詠唱ってのは魔法を発動するための補助輪みたいなものだからな」
得意ではないジャンルの魔法や、あまりに強い効果を求める時には必要だが。
「また、またおまえかかかか! オタクやろやろろろろうがオレれれれレのじゃまをするなるなるなるなるなななな!」
ダークヴァルキリーの消滅を見た加古川は、全身を大きくガタガタと震えさせ始め、顔の肉も内側からボコボコと歪みをみせている。
あ、やっぱオタクってバレてた?
加古川の全身から血が噴き出している。
やがて赤い血は止まり始め、代わりに紫の煙が立ち上り始めた。
煙が晴れた後、そこに立っていたのは、加古川とは似ても似つかない筋肉隆々の男だった。
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