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12章:ヴァリアント支配伝ヒミコ(18)

「これほど繊細な魔力操作を人間が行うだと……? それでいて、甘さも容赦もない。ナンバカズ、貴様はやはり危険だ」


 ぬらりひょんの全身から魔力があふれ出す。

 彼が片手を上げると、ヴァリアント達に緊張が走った。


「殺せ」


 ぬらりひょんがオレに向かって手を下ろすと同時に、150を超えるヴァリアント達が一斉に襲いかかってきた。

 その大半は、今のオレなら一撃で仕留められる。

 だが事前の打ち合わせ通り、ここは由依達に任せることにした。


 彼女達が強くなれば、それだけ自分の身を守れるようになる。

 万の訓練よりも一の実戦。

 もちろん、訓練をしておくほど実戦での伸びしろも増えるが、実戦なくして大きな成長はのぞめない。


 もちろん、ピンチになったら助けるつもりである。


 襲い来るヴァリアント達に先陣を切ったのは由依だ。

 ヴァリアントの大群に向かって、真っ直ぐ走っていく。

 既に神器グングニルは発動済みだ。


「小娘一人で何ができる!」


 先頭にいるテングのような姿をしたヴァリアントが、由依に飛びかかる。


「スパイラルランス!」


 ヴァリアントが由依に手をかけるより早く、由依は体を錐のように回転させながら、空中をスライディングタックルのように滑った。

 さながらつま先を先端とした回転する槍のようだ。


「ぐばぁ!?」


 ヴァリアントの腹部から胸部にかけてに、巨大なドリルに貫かれたように、でかい穴があいた。

 それでも由依は止まらない。

 20体を超えるヴァリアントを貫き、あるいはその回転に巻き込み、屠っていく。

 だがそんな由依の前に、かなり魔力の大きなヴァリアントが立ちはだかった。


「人間の小娘がなかなかやるじゃない」


 琵琶を手にし、着物をはだけさせた女性の格好をしたヴァリアントは、由依の足首を掴み、その回転を無理やり止めた。

 回転と魔力による摩擦で白い手がボロボロになるのも構わず、片手で由依を持ち上げると、野武士のようなヴァリアントが構える刀へと放り投げる。


 由依は空中で体勢を立て直すと、刀の腹を蹴って折り、着地と同時に野武士の顎を蹴り上げた。

 蹴り上げた勢いのまま空中へ離脱した由依だが、ここはもとから空中なのだ。

 既に別のヴァリアントに上をとられていた。


 由依に向かって、弥生時代のような服装の男が、巨大な斧を振り下ろす。


「由依さん!」


 その『斧を中心にして』双葉が拳サイズの神域絶界を展開した。

 絶界がとらえたのは斧の一部。

 しかし、その一部をがっちりと空間に固定されたため、斧が振り下ろされることはない。

 その隙を逃さず、由依がヴァリアントの首を刎ねた。

 そのままいったんこちらへ戻ってくる。


「ほぅ……。神域絶界を遠隔で展開できるとな」


 ヒミコが興味深そうに双葉を見た。


 これが双葉の新たな武器だ。

 自分を含めずに神域絶界を展開させるのはかなり苦労した。

 なんせオレが使えない技だから、教え方が難しかったのだ。




ここまでお読み頂きありがとうございます。

続きもお楽しみに!


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