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12章:ヴァリアント支配伝ヒミコ(12)

 オレと由依はそれぞれに電話をかけ始めた。

 ピッチの電話帳にこそ登録されていないが、電話連絡網を頭に思い浮かべ、ボタンをプッシュする。


 由依は渡辺と鬼まつりにかけてくれている。

 ならオレは来栖だ。

 ファミレス店内ではあるが、この頃はまだ携帯電話のマナーにうるさくなかった。

 そういう問題ではないとわかっているが、非常時なので許してほしい。


 数回のコール音。

 出ろ……頼む……。


 オレの願い虚しく、数回のコール音の後、切られてしまった。

 もう一度かけながら、由依の結果を聞く。


「渡辺さんは、海でナンパされた人たちに絡まれてるって。クスリか何かをやってるみたいで怖いから逃げたんだけど、追いかけて来てるって言ってた。鬼瓦さんは今かけてるけどつながらない」

「渡辺の場所は?」

「聞いてある」

「ならとりあえず渡辺からだ! すいません、このままお会計します! お釣りはいらないんで!」


 オレはポテトを持ってきたウェイトレスの手から伝票をひったくると、レジの前にお金と一緒に叩きつけ、店を飛び出した。

 三人も続いている。


 オレ達は人気のない立体駐車場に急ぎ、そこで全員に認識阻害の魔法をかけた。

 美海の能力ほどではないが、よほど注目されていない限り、一般人からはそこにいないように感じられる。

 同時に光学的にも見えにくいようにしておく。

 目をこらせば陽炎のような歪みが見えるが、とりあえずはこれで十分。


 由依から聞いた渡辺の居場所はここからそう遠くない公園だ。確か近くに図書館があったはずである。


「由依は双葉を!」


 そう言いながら、オレは美海を抱きかかえた。


「お兄ちゃんがよかったな」


 双葉は不満を漏らしながらも、由依の背中におぶさった。


「重さを考えると、オレが美海を持った方がいい」

「カズ君……いくらなんでもそれはヒドイんじゃ……」


 事実をもとに効率を重視した判断だったが、美海の抗議は……まあ……うん。

 正直すまんかった。


 オレと由依は立体駐車場から空に飛んだ。

 由依は飛行をできないので、建物の屋根を蹴りながら進む。


 移動しながらも電話を続けようとしたが、すぐに電波が途切れてしまった。

 ピッチはアンテナの効果範囲が狭いので、高速で移動しながらだとそうなるんだよな。


 目的の公園が見えてきた。

 上空から見ると、人気のない広場に、渡辺と海で見たナンパ男が二人。

 荒い息をついている渡辺が追い詰められている。


 渡辺に見られると色々面倒だな。


 オレは渡辺の背後に着地すると、美海を下ろすのと同時に渡辺を魔法で気絶させた。


「ひひひひんむいて犯してやる。胸にらくがきをされたせいで、女をくえなかったたたた」

「あああああのときの女、こんどこそその美味そうな体をいただいてやるぜぜぜぜぜ」


 男二人は目がぎょろりと飛び出し、体中の血管が浮き出ている。

 筋肉も盛り上がり、口からはよだれを垂らしている。

 魔力が噴き上がり、今にも肉体がヴァリアントに変化しそうだ。

 クスリをやってるどうこうのレベルじゃない。

 二人の体がどんどん低鬼へと変わっていく。


 彼らの反応は、低級なヴァリアントに成りたてのものだ。

 人払いの効果は発動しているし、既にヴァリアント化していると見ていい。


 次がつかえてるんだ。

 悪いがさくっと殺らせてもらう。


ここまでお読み頂きありがとうございます。

続きもお楽しみに!


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