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12章:ヴァリアント支配伝ヒミコ(11)

 魔力の発生源に近づくにつれ、人が少なくなっていく。

 ヴァリアントの人払い効果が効いているのだ。


 そこは多目的トイレだった。

 この頃は別の呼び名だったが。


 トイレの中にいたのは、紫のスーツに身を固めたパンチパーマの中年男性と、一緒に海に行った陽キャカップルだった。

 カップルの男子はズボンを下ろし、ミニスカートを穿いた女子のパンツも膝まで下ろされている。

 こいつら……。

 何をしていたかはあえて訊かないが、とりあえず気絶していてもらおう。


 オレは紫スーツの肩越しに魔力を飛ばし、二人を昏倒させた。

 それと同時に双葉は神域絶界を展開。

 由依は神器を起動して背後を警戒。


「なっ!? はやすぎる!?」


 紫スーツの言った「はやい」とはどういった意味なのか。

 それを問いただす間もなく、彼が異形に変わろうとする瞬間には、オレの剣に両断されていた。

 その死体を細切れにしているオレの横を由依がすり抜け、気絶している陽キャカップルをオレの背後へ移動させる。

 ナイスだ由依。

 神域絶界が維持されているのを確認しつつ、ヴァリアントの死体を焼却。

 双葉に目で合図をし、神域絶界を解いてもらう。


「すごいコンビネーション……」


 驚く美海はどこか悔しそうだ。


「美海も神器さえ発動できれば、とても有効な能力なんだ。訓練ではうまく行っているだろ?」

「うん……」


 甘やかすのは彼女の安全のためにもよくはない。

 だがそれを彼女自身がわかっているなら、多少のなぐさめくらいはしてもいいだろう。


 とりあえず気絶している陽キャカップルを多目的トイレに放り込み、オレ達はその場をあとにした。




 移動先はモール内にあるファミレスだ。

 できるだけ席どうしの距離が離れている店を選んだ結果である。


「偶然……なわけないわよね」


 フライドポテトと全員のドリンクバーを頼んだ後、最初に口を開いたのは由依だ。

 注文内容が貧相なのは、長居をしないから許してほしい。

 ちょうど空いている時間帯だし。


「そうだな」

「だよね……」


 由依の呟きにオレと美海も続く。


 双葉だけが頭にはてなマークを浮かべている。


「さっきの2人、オレと由依のクラスメイトなんだ。ついでに、一緒に海に行ったメンバーでもある」

「ああ……なるほど……。それは偶然と考えるほうが無理あるね」


 たまたま同じモールに来ていたのはまだいい。

 ここらの有力デートスポットの一つだからだ。

 同じ学校の生徒や、場合によっては教師と遭遇なんてことも、そこまで珍しくはない。

 だがそこに、ヴァリアントに襲われたという偶然まで重なると、話は別だ。


「もしなにか企みがあるとして、なんであの2人襲ったんだろ? カズとたいして仲良くないよね?」


 由依の言う通りである。


「クラスでは話したことないしな。接点らしい接点は、こないだの海くらいだが……。マズイかもな」

「そうね」


 顔を見合わせたオレと由依はピッチを取り出した。


ここまでお読み頂きありがとうございます。

続きもお楽しみに!


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― 新着の感想 ―
[気になる点] すごく今更だけど、ピッチって ある世代以上しか伝わらないですよねw
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