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3章:神って欲望にまみれたヤツ多いよな(4)

「ヤバイぞ、この神器ってやつ」


 オレの真剣な声を受け、まだその身に残る快感に身をよじらせながらも、由依が不安な顔を向けてきた。


「使用者の負担が全く考慮されてないんだ。こんなもの使ってたら、数年待たずに体内の魔力回路がぼろぼろになって死ぬぞ」


 どうりで、魔法が一般的ではない世界で作られたものの割に、出力が高いはずだ。

 あちらの世界では呪いの武具扱いされるレベルである。


「やっぱりね……」


 自らの死刑宣告に対し、由依はさして驚いた風でもなかった。


「知ってたのか」

「うん……。この神器、形は使用者に合わせて変わるんだけど、使用者はみんな短命なの。かなり強力な神器なのに、おかしいなって思ってたんだ。やっぱり、神器に殺されてたのね」


 コアに強力なヴァリアントの肉体の一部を使い、それと使用者の魔力を反応させて力を引き出している。

 そして、にわか知識で無理矢理回路を作っていやがる。

 完全にブラックボックスのまま、なんか動くから使っとけってところか……。

 どこの汎用人型決戦兵器だよ。

 こんなものを使ったら、新劇場版どころか、旧劇場版の完成も見られるか怪しいぞ。


「しかし、由依は社長令嬢だろ? よく親がこんな危険な神器の使用を許したな」

「その親が私に与えた使命なのよ」

「なんでそんな……」


 由依はゆっくり首を左右に振った。


「父(あの男)は、対ヴァリアント組織との繋がりを欲しがった。でも、東アジアの組織とのそれは叶わなかった。だから、活動資金に困っていた北欧系に目をつけたの」

「対ヴァリアント組織が裏から世界を操ってるとかそういうことか?」

「操ってるってのは言い過ぎだけど、強い影響力があるのは間違いないみたい。マンガみたいな話だけどね。父の会社は兄が継ぐから大丈夫。神器非適応でありながら適応者の血を持つ兄は手に入った。だから私は戦闘要員ということ」

「そんな……。でも、由依が死んだら、北欧系組織との繋がりが途絶えてしまうだろ」


 由依の母は生きているようだが、次の世代にも繋がりを残したいはずだ。

 いや、母が生きているということは、必ずしも神器に適応するとは限らないのか。


「神器非適応の子供ができれば問題ないってことか。娘を犠牲にしてまで異形と戦ったという評判も得られる」

「ロジカル……というより、冷静すぎるくらいの思考ね。なんだかカズがずっと年上に見えるわ」


 さすが幼なじみ、スルドいな。


 なんでそんな使命を受け入れたのかは……妹さんがヴァリアントにやられてるんだっんだな。

 「父親に利用されているだけでは?」という言葉は飲み込んだ。

 彼女自身もとっくにわかっていることだろう。

 その妹さんが本当に存在していたかは、やはり調べておく必要がありそうだ。

 結果を彼女に言うかはまた別の問題だが。


「とりあえず、その神器を改造してみるが、いいか?」

「できるの?」

「向こうの世界では、最終的に自分の武具は自分で作ってたからな」


 伝説級の武具でも、オレの能力に耐えられなかったのだ。


「じゃあお願いするわ」


 頷いたオレが再び由依の太ももに手を伸ばすと、黒タイツから一瞬、魔力が迸った。

 それと同じに、道場の入口に強力な魔力が出現した。

 なんだこの気配?

 魔力は強くなったり弱くなったりを繰り返している。


 オレと由依は、はっと顔を見合わせ、道場の入口を見た。

ここまでお読み頂きありがとうございます。

続きもお楽しみに!


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― 新着の感想 ―
[一言] とは言え、これ父親にバレたら主人公も幼馴染も面倒臭い事にしかならないですよね?バレる前に父親と決別しないと、主人公含めて利用されるだけな気がする。 逆行前は、幼馴染って囲まれた3匹に殺さ…
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