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12章:ヴァリアント支配伝ヒミコ(3)

 朝食を終えたオレ達は、メイドが下げてくれる食器を見送りながら、本題に入った。


「警察の見解は、放火で固まるみたい」


 事実なのだからそりゃそうだというところではあるのだが、改めて由依から情報をもらえるのは大変ありがたい。

 昨日の今日で警察情報を得ているあたり、さすが白鳥家というところか。


 火災保険は下りるようだが、問題が解決するまで、次の家に住んでよいものかどうか……。



 オレは二人に、昨晩見たヴァリアントのことを話した。



「放火犯はヴァリアントってこと?」

「許せない……」


 由依は眉をひそめ、双葉は怒りに顔を歪ませた。


「でも変ね……カズの力を知っていれば、放火でどうこうなるなんて思わないはずだけど……」


 それはオレも気になっていた。


「カズのことをよく知らないヴァリアントの仕業ってこと……?」

「偶然うちが燃やされたはずがないからな。オレの存在を邪魔には思うが、オレのことをよく知らないヤツが犯人か?」

「それしか考えられないけど……」


 頭を悩ませてもこれ以上の考えは出てこなさそうだ。


「問題は、理由がわからないままだと、今後も同じ事をされるかもってことだな」


 面倒なことになってきた。

 こうなりにくいよう立ち回ってきたつもりではあるが、何も考えずにつっこんで来る相手だと、そのあたりの駆け引きは通じない。

 いや……本当にそうなら、返り討ちにすればよいだけだ。


 だがどうにもおかしい。

 情報不足でなんとも言えないが、力押しタイプなら、昨晩逃げたりしない気がするのだ。


「それなら、しばらくうちに泊まったら?」

「いや、いくらなんでもそれは……」

「大丈夫よ。部屋どころか、家がいっぱいあるんだから。それにこの敷地内なら、一般人を巻き込む可能性もぐっと減ると思うけど?」

「む……うむ……」

「遠慮してるなら無用よ。カズがいなかったら、きっと今頃あたしは死んでるし、父だってこの前の島で死んでる。文句を言う人なんていないわ」


 それでも遠慮してしまうのが、オレの小心者……というか、根がコミュ症なところだ。


 とはいえ、由依の提案が、現状では最善なことにかわりはない。


 ちらりと双葉を見ると、難しい顔で頷いた。

 思うところはあるかもしれないが、承諾ということか。

 ヴァリアントのことがなくても、家を失ったオレ達にとっては、ありがたい申し出であることは確かなのだ。


「やっかいになるよ。ありがとう」

「おっけー! 自分のうちだと思ってつかってね。家は今使ってる和館でいい?」

「ああ」

「父には私から言っておくわ」


「大丈夫だ! なんなら同じ布団で寝てもかまわんよ!」


 突然部屋に入ってきたのは、由依の父、鉄岩だ。


 こいつ……オレの強さを見て、由依とくっつける方針に切り替えたらしい。

 それはそれでなんかムカつくぞ。


「何を言ってるの!」


 真っ赤になった由依が、鉄岩の背中を押して、部屋から叩き出した。


 額に汗を浮かべて振り返った由依は、もごもごと口を開く。


「同じ布団はさすがにだけど、一緒の部屋くらいならいいよ……?」


 お前は何を言っているんだ。

 混乱しすぎだろ。



ここまでお読み頂きありがとうございます。

続きもお楽しみに!


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 由依の父、いたのか
[一言] パパンが把握できてる情報だけでも 他の組織の紐がついてなくてクッソ強くて短期間で兵士たちの人心掌握を果たした とか激ヤバ即ゲット案件よね まぁパパンへの好感度は地に堕ちてるどころじゃあない…
[一言] だってパパン『娘の一人や二人いくらでもさしあげよう』って契約しちゃってるもんね
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