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11章:水の星へ覚悟を込めて(11) SIDE 美海

SIDE 美海



 ゆっくり目を開くと、私の体は『変わって』いた。

 賭けには勝った!

 あとはどう生き延びるかだ。


「えへへ……カズぅ……そんなとこさわっちゃ……やん」


 不埒な夢を見ている鬼瓦さんの頭に、ポセイドーンが今まさにかぶりつこうとしている。


「魔力?」


 神器の起動に反応したのか、ポセイドーンがこちらを振り向いた。


「ややっ、もう一人はどこだ?」


 鬼瓦さんから手を離したポセイドーンは、私がいたあたりを見回すが、その姿を捉えられないでいた。

 私の姿を消す能力は、ポセイドーンにも有効らしい。 


 私はポセイドーンから距離をとりつつ、ゆっくり鬼瓦さんに近づく。

 私だけが助かるのならさっさと水面に向かうのだが、そんなことをすれば、もうカズ君の仲間ではいられないだろう。

 いったん助けを呼びにいくにしても、その間に鬼瓦さんは食べられてしまうかもしれない。


 よし、鬼瓦さんのとなりにまで来れた。

 あとは、ポセイドーンの視界から鬼瓦さんが外れた瞬間を狙う。

 ふらふらと漂うポセイドーンが、私の鼻先を通過する。


 まだ……まだよ……。


 ポセイドーンの視線が鬼瓦さんから完全に外れた。


 今!


 私はまだ眠っている鬼瓦さんの手を取り、全力で水を蹴った。


 速いだけという私の能力も、こんな時は役に立つ。

 首が折れ曲がりそうな水の抵抗を感じるが、痛がっている場合ではない。


「なに!?」


 驚くポセイドーンを置き去りに、岩陰に隠れる。

 水の軌跡でバレてしまったが、これでまた姿を消せたはず。

 今のうちに逃げよう。


「俺様から気配を隠せる能力とは、なかなかやるじゃないか! だが、水中で逃げ切れるなどと思わないことだ!」


 ポセイドーンが上へ手を向けると、その手を中心に竜巻のような渦ができた。

 危ないところだった。

 もし上へ逃げていたら、あれに引きずり込まれていただろう。


 私は岩の影から、下に逃げていた。

 ある程度下りたところで、ゆっくり浜の方へと泳いでいく。

 水の流れを乱さぬよう、ゆっくりだ。

 いまだ夢の中な鬼瓦さんの手を引きながらではあるが、神器のおかげでパワーは十分たりている。


「手応えがない……逃げられただと?」


 まだだ……焦ってはいけない。

 ゆっくり……ゆっくりだ。


「んん……恋人つなぎなんかして……やらしいんだがら……」


 このギャル! いつまで幸せな夢みてんの! しかもなんかピュアだし!


 そっと振り返ると、ニヤリと笑うポセイドーンと、しっかり目があった。


 戦う? いいえ、逃げるわ!

 敵うはずがない。

 いきなりエースなんて、アニメみたいに特別な展開、私にはおこらないってわかってる。


 私は全力で水を蹴った。

 引っ張っているギャルが水の抵抗で多少のダメージが受けているかもしれないが、食べられるよりはマシだろう。


 世界記録なんてぶっちぎるほどの速度が出たはずだ。

 しかし、私の頭がぶつかったのは、ポセイドーンの胸板だった。


ここまでお読み頂きありがとうございます。

続きもお楽しみに!


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