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11章:水の星へ覚悟を込めて(10) SIDE 美海

SIDE 美海



 どことも知れない天蓋付きベッドの上で、半裸のカズ君がゆっくり迫って来る。

 彼のしなやかながらも男の子らしい固い指が、私の首筋に触れる。

 その手がゆっくり私の胸元へと下りていく。


 シルクのバスローブの胸元へ、彼の手が滑り込む。


「ん……っ」


 私は思わず吐息を漏らした。


 男の人に直接胸を触られたことなどない。

 だからそれが、どれほど気持ちの良いことなのかはわからない。

 しかし、この夢の中では、私の体は快感に貫かれていた。


「ん……あ……は……ぁ」


 彼の手が、私のバスローブを脱がし、あちこち這い回るたび、快感で体がビクビクと震える。


 とても夢とは思えないリアルな感覚。

 感じたことがないはずなのに、これが現実だと思わされるほどの夢。


 そう、これは夢なのだ。


 普通なら、夢だと気付くことなどできないだろう。

 頭でわかっている私でさえ、気を抜くと現実だと思ってしまいそうになる。

 それほどまでにリアルだ。


 でも私はそうではないと知っている。


 なぜならこの夢は、何度見たかわからないものだからだ。


 つぎにカズ君がすることはキスだ。

 そして、その唇は、手と同じように、首、そして胸へと移っていく。


「ん……はぁ……」


 ほらね。


 これがわたしの願望の表れなのだろう。


 カズ君の手が、唇が、私の体を愛してくれる。


 このリアルな感触をもう少し味わっていたい。


 でも、そうも言っていられない。


 もうえっちなことはたくさんできた。魔力は十分なはず。


 私は後ろ髪を引かれる思いながらも、カズ君に大人のキスをした。

 最後に彼の唇をなぞった指で、自分の頭部にそっと触れた。


 そこにはさわり慣れた自分の頭があるだけだ。


 一つ目の賭けには勝った

 すなわちいつもの夢を見ることだ。


 残る賭けはは、現実の体が動いてくれること。


 お願い! 動いて!


 私は自分の右手に全神経を集中し、カチュシャーのあたりを軽くこすった。


 ……だめだった?


 でももうこの手しか……。


 その時、私の体を強い快感が貫いた。


「んんっ! きた! きたわ!」


 快楽に脳が痺れはじめるのと同時に、周囲の風景がぼやけ、それはやがて先程までいた海に変わった。



ここまでお読み頂きありがとうございます。

続きもお楽しみに!


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[一言] そろそろ運営からお叱りが来るような
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