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11章:水の星へ覚悟を込めて(4)

 芋洗いとまでは言わないが、海の中もそれなりに込んでいる。

 今はビーチボールで遊んでいるが、うっかりすると他人と衝突しそうになる。

 オレや由依はそんなヘマをしないが、他のメンバーはたまに背中どうしでぶつかって、謝ったりもしている。

 幸い、お互い様ということでトラブルにはなっていないが。


 それにしてもこのビーチボールという遊び。

 腰まで海につかって、ボールをトスしあうだけという、高校生にもなってやる遊びとは思えない。

 特にルールがあるわけでもなく、競い合う要素もない。

 ゲーマー的にはイマイチである。

 ではあるのだが……。


 女子がトスをするたびに、その豊かな胸が揺れまくる。

 ぽよんぽよん。

 ぽよよんぽよよん。


 天国かな?


 つい無意味に「ダダーン!」と叫びたくなる。


 海って最高だ。

 みんなが行きたくなる理由を初めて体験しているぞ。


「カズ……幼なじみとして、考えてることはだいたいわかるわけなんだけど?」


 そんなオレに、由依があきれた顔を向けてきた。


「な、なんのことかな?」


 日常モードで気が緩んでいるせいか、どうしても視線は由依の胸に行ってしまう。


「全く興味をもたれないよりずっといいんだけどね?」


 由依は複雑な顔でその大きな胸をぎゅっと抱いた。




「ひゅー、レベルたっけえなあ」「キミたち、オレらとも遊ばない?」


 みんなで海を楽しんでいると、そこにいかにもナンパなサーファーといった2人の男達が現れた。

 身長180センチを超える、がっしりした体格の持ち主だ。


 このあたりがすいていたのは、彼らがいたせいか。

 どうやら飲み物を買いに行っていたらしい。

 ついでに女あさりもしていたのだろうが。


「いいだろ? オレらが色々おしえてやっからよ」


 金髪の男が由依の腕をとろうとするが、由依は触れることすらさせず、その手を避けた。


「おお? 逃げるなって」


 なおも男は由依を追う。


「やめてくれますか? 痛い目みますよ?」

「気が強い女は好きだぜ」


 今の由依なら、神器なしでもこの程度の男を倒すのは造作もないだろう。

 だが、由依にこんな汚い男どもを蹴らせるわけにもいかない。


「ちょっとお兄さん、そいつはオレの連れなんだが?」


 オレは由依と男の間に入る。


「はあ? お前みたいなひょろ……くはねえな。いい体してるじゃねえか。顔に似合わず」


 一言余計なんだよ。


 他の客の目があるから大立ち回りは避けたいところだ。

 オレは普通の人間には見えない速度で男のみぞおちを突いた。

 使ったのは小指一本だが、穴をあけないよう手加減するのは思ったより難しい作業だ。


「ふぐっ!?」


 男は苦しむ間もなく、その場に気絶した。


「ちょっとやめてよ! イヤだってば!」


 渡辺は別の男に手首を掴まれている。

 なお、美海と鬼まつりは、海の家へと買い出しに行っている。

 残りの陽キャカップルの二人はというと……危機を察していつのまにか離れた場所にいる。

 あいつら……クラスメイトを見捨てるんじゃねえよ……。


「や、やめろよ!」

「ああん?」


 完全にへっぴりごしだが、立ち向かう気のある来栖の方がよっぽど立派である。


 ひとまずつかまっちまった渡辺をなんとかしてやるか。



ここまでお読み頂きありがとうございます。

続きもお楽しみに!


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