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10章:テーマパーク(13)

「どういう状況だこれ」


 カチューシャの魔力を追ってきたら、ヴァリアントと由依が戦っていた。


「難波君!?」


 さらにそこへ宇佐野が現れた。


「宇佐野……だよな?」


 露出度の高い擬人化ウサギバニーガールキャラみたいな格好もそうだが、声をかけられるまで全く気配がなかったぞ。

 それにこの魔力……カチューシャに適合したのか。


「ひゃあ!」


 自分のかっこうを見た宇佐野が、真っ赤になってその場にしゃがみ込んだ。

 胸を腕で抱いてしゃがんだせいで、逆にあちこち強調するポーズになっている。


 近くには首筋から血を吸われたらしい幼女が倒れている。

 宇佐野にも同様の傷がある。


「ぐ、ぐうぜんだね……なんばくん……」


 この状況でなぞのすっとぼけをかます宇佐野はいったんおいておこう。


「とりあえず、そこのヴァリアントを倒すってことでいいんだな?」

「うん、速いから気をつけて……って、カズに言う必要はなさそうだけど」


 由依はヴァリアントから視線を外さずに言う。

 今の由依が仕留めきれないということは、それなりに速い相手なのだろう。


「『人払い』を抜けて人間が二人も来たですって!?」


 うろたえているところ悪いが、三人目がいる。


 後方に待機していた双葉が、神域絶界を展開した。

 いいぞ、一人でもかなりスムーズに展開できるようになったな。

 それを確認したオレは、黒刃の剣を取り出し、ヴァリアントへ迫る。


「な、速っ!?」


 ヴァリアントはオレの速度に驚きながらも、オレの一撃を避けた――つもりだろう。


 ぼとりとヴァリアントの腕が地面に落ちた。

 ヴァリアントはその腕を呆然と眺めている。


「ヴァリアントで最も速い私を斬った!?」

「どこの世界の一番だそれは」


 オレの声に反応したヴァリアントが振り返った時には、彼女の首は胴を離れていた。

 近距離戦闘での速度なら、スサノオの方が速かったぞ。


「こうなったら人質を――いない!?」


 それがヴァリアントの最後のセリフだった。


 オレはヴァリアントの頭と体を細切れにし、炎の柱で焼き尽くした。


「宇佐野、出て来ていいぞ」


 オレがそう言うと、木の陰から宇佐野が現れた。

 気絶した幼女を抱きかかえている。

 どうやらあのカチューシャは、変身の他に姿と気配を完全に消せるらしい。

 抱えていた幼女も消えていたので、効果範囲は本人以外にも及ぶようだ。

 神域絶界とは違い、世界と隔絶されるわけではなさそうだが。


「とっさにその子をよく隠してくれた」


 反応から察するにヴァリアントと遭遇したのは初めてだろうに、よく幼女を庇ったものだ。

 ヴァリアントが幼女を人質にするスキなど与えるつもりはなかったが、それを言うのは野暮というものだろう。


「難波君……今のはいったい……」


 うーむ。宇佐野の質問には、どう答えたものかね。



ここまでお読み頂きありがとうございます。

続きもお楽しみに!


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