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10章:テーマパーク(12) SIDE 宇佐野

SIDE 宇佐野


「大丈夫!? 人払いの効果を突破するのに時間がかかっちゃった」


 私を気遣ってくれる白鳥さんは女神そのものだった。

 これは女子でも惚れる。


「う、うん……これって一体……」

「説明はあと! 下がってて!」


 白鳥さんはそう言って構えると、お姉さんへとつっこんで行った。


 理屈はわからないが、お姉さんの爪を蹴りで弾きながら、ジリジリ詰めて行く。

 強い!

 戦いが完全にフィクションのそれだ。


「神器持ちが二人も!? くっ……人間のクセにやりますね」


 お姉さんがそう言うと、彼女の体が変わり始めた。

 手は細長く伸び、脚は鹿のように太腿が太く、足先が細くなる。

 頬はげっそりと削げ、目は爛々と光っている。


「キキャー!」


 お姉さんだった異形が奇声を上げると、その姿がかき消えた。

 それが、ものすごいスピードで動いたのだと気付いた時には、白鳥さんが既に私を庇ってくれていた。


「あなたの相手はこっちでしょ!」


 白鳥さんの脚が輝き、横一線。

 異形は消え、その後ろの木が数本まとめて切り倒された。


「人間ってのは不便だねえ!」


 木の幹に着地した異形の顔が、にやりと歪んだ。


 せめて隠れなきゃ。

 このままじゃ脚をひっぱっちゃう。


 私は必死に木の陰に隠れた。


「逃げられないよ! ……おや? どこにいったんだい?」


 木を回り込んできた異形が、私の前であたりを見回している。

 私のことが見えてない……?

 この姿になった効果?


 私はキョンシーに出会った時のように、息を潜めた。

 異形の鼻先が、私の鼻に触れそうな距離をうろうろしている。


「余裕かましすぎよ!」


 横から白鳥さんが異形に蹴りを繰り出すが、異形はまた姿をかき消した。


「もうっ! これでもかなり速くなったはずなのに! さすがにこんなところで大技を使うわけにはいかないし……相性悪いったら!」


 白鳥さんが声を荒らげるのなんて初めて見た。


「かなりやるようですが所詮は人間! スピードであたしに敵うハズがないね!」


 私の目には何がおきているかわからない。

 異形どころか、白鳥さんの姿も全く見えないが、衝撃音が鳴り響き、周囲の木々がどんどん傷ついていく


 ウサギの姿になって動体視力も上昇しているのか、普段では見えないスピードも見えるようになっている。

 ときどき、傷ついた二人の姿が見える。

 異形は片腕が折れ曲がり、白鳥さんもあちこち切り傷だらけになっている。




 しばらく戦いが続いた後、白鳥さんが動きをとめた。


「かんねんしましたか」


 異形がにやりと笑う。


「いいえ、本当のヒーローの登場よ」


 しかし、白鳥さんは余裕の表情でそう答えたのだった。



ここまでお読み頂きありがとうございます。

続きもお楽しみに!


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