表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

174/426

10章:テーマパーク(3)

 双葉が買ったのは、結局動きやすいキャミソールにスパッツだった。


「そういや、どこに遊びに行きたいんだ?」

「キャットミーランド! だから動きやすい服がいいと思ってね」


 双葉が指定したのは、日本で最も有名なテーマパークだ。

 行き先としては文句はないのだが……。


「じゃあなぜ水着の試着をしたんだ?」

「せっかくだからショッピングも楽しみたいもん」


 まあ楽しそうにしてくれたからいいんだけどな。


 そんな会話をしながらやってきたのはフードコートだ。


「フードコートって、色々あってわくわくするね!」


 スペースの中央にイスとテーブルがたくさんならんでいて、それをぐるりと囲むようにお店がならんでいる。

 ラーメンやチキン、たこやきにカレーなど、色々な店舗が並んでいる。


 かなり遅い昼飯になってしまったが、それでもフードコートは混み合っていた。


 席をとっておくほどでもないので、オレと双葉はそれぞれ食べたいものの店へと向かった。

 双葉はパスタ、オレはラーメンを選んだ。


 ラーメン屋は九州に本店を置く有名なチェーン店だ。

 たまにはこういう贅沢も良いだろう。

 こんでいる時間帯なら行列なのだろうが、今は数人しか並んでいない。


「難波君……?」


 メニューの看板を眺めていると、後ろから聞き覚えのある声が聞こえてきた。


「宇佐野か」

「うん、家族できてるの」


 そういう宇佐野は少し恥ずかしそうだ。

 高校生の頃ってそうだよな。

 なぜか家族といるところを見られるのが恥ずかしかったりするのだ。


「難波君は……白鳥さんと?」

「いいや、妹と来てる」

「兄妹で? 仲良いんだね」

「そうでもないさ。今週、キャットミーランドに連れてけってせがまれてな。そのための買い物に付き合わされてるだけだ」

「やっぱりとっても仲良しなんだ。いいお兄さんなんだね」

「そういうんじゃないって」

「年頃の兄妹で一緒に遊びに行くなんて珍しいと思うけどなあ。違うのかなあ」


 うちも前の人生じゃそこまで仲良くしてたわけじゃないから、なんとも言えないな。

 あの時は、双葉に一方的に護ってもらっていたわけだが……。




「ならんでる時に話してた人、誰?」


 双葉と合流すると、さっきまでの上機嫌が一転、口を尖らせている妹がいた。


「同じクラスのヤツだよ」

「仲良しなんだね」

「学園祭の実行委員で一緒だっただけだ」

「ふーん? 向こうはそう思って……なんでもない。食べよ?」


 多少、好意を持たれている自覚はたしかにあるけどな。

 それを一目で見抜くとは、洞察力の高い中学生だ。

 女子ってのは早熟だって言うしな。


 宇佐野は前の人生でも、話す回数こそ少なかったが、オレによくしてくれることが多かった。

 当時はオタク仲間として話したことはないはずだが、同類だと感じていたからだろうか。

 そんな事情もあって、宇佐野が困っていたらつい手をさしのべたくなってしまう。

 もちろん、由依や双葉の方が優先だが。


 なにはともあれ、今日は双葉に楽しんでもらえたようでよかった。

 キャットミーランドでもそうなってほしいものだ。



ここまでお読み頂きありがとうございます。

続きもお楽しみに!


ブックマーク、高評価での応援をなにとぞ! なにとぞよろしくお願いいたします!

(この下にある★5をぽちっと)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ