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10章:テーマパーク(2)

◇ ◆ ◇


 双葉と訪れているのは、それなりに大きなショッピングモールだ。

 飲食から服飾、雑貨まで150店舗ほどが入っている。

 高級店もいくつかあるが、殆どが庶民向けのブランドである。


 平日にもかかわらず、夏休みだけあって、若い客が多い。


 そしてオレは、女性向けブランドが並ぶエリアに引きずられてきていた。


 い、居づらい……。

 日頃双葉が好んで着るガーリーなブランドのお店なのだが、男性向けは置いていないので、客は女性とカップルだけだ。

 となりの店舗が下着屋なのも、オレをそわそわさせる原因だ。


「ねえお兄ちゃん、これどうかな?」


 双葉が持ってきたのは、ミニのワンピ、なぜかオーストラリアの国旗がデザインされたタイトスカート、花柄のロングスカートなどだ。


「その中だとミニのワンピかなあ」

「やっぱりミニスカートが好きなんだ……」


 なぜそこで微妙に機嫌を悪くするんだよ。


「とりあえず全部着てみるから、試着室の前で待っててね」

「全部!?」

「もちろん! 時間はあるしね」


 たしかにまだ午前中だが、まさか一日中買い物する気か……?




 そこからは双葉のファッションショーが始まった。

 ガーリーブランドに始まり、ボーイッシュなブランドまで、一通りの店で試着をした。

 そしてやってきたのは水着ショップだ。


 今までで居にくさ最大値である。

 由依とデートならまだしも、妹と来るところじゃない気がするぞ。


「ちょっとお兄ちゃん! また別の女のこと考えてるでしょ」

「いくらなんでも鋭すぎでは!? 女子ってみんなこうなの!?」

「ちゃんと待っててよね」


 双葉は試着室のカーテンを引いた。


 ……他のお客さんの目が痛い。

 店員さんは双葉と来たところを見ているので優しい視線を送ってくれるが、それすら恥ずかしい。

 助けてくれ。


「ねえねえお兄ちゃん」


 カーテンから顔だけだした双葉が、ニヤニヤとこちらを見ている。

 いかにもイタズラをしかけましたという顔だ。

 どんな水着を着たんだよ。

 見るのが怖いんだが?


「ちょっと恥ずかしいからこっちこっち」


 呼ばれるまま、おそるおそるカーテンに首をつっこむと、腰にフリルのついたピンクの水着に身を包んだ双葉の姿があった。


「おう、似合ってるな」

「すっごい水着を着てると思った?」


 こいつ、直前の表情で罠をしかけてやがった。


「じゃあ次ね」


 まだやるんか。


 その後、何着か水着ファッションショーが開かれた。

 胸がぺったんこなので、そのあたりの魅力はないが、細身で小さなその体は一部に絶大な需要があるかもしれない。


「これでラストね」


 そう言って見せてきたのは、ものすごいマイクロビキニだった。

 胸のあたりは貝殻のプリントまでされている。


「ちょ……おい……!」


 ものすごい反応に困るんだが!


「あぅ……やりすぎたよね……ごめん……」


 真っ赤な顔でオレを追い出した双葉は、しばらくすると試着室から出て来た。


「ごはんたべに行こうか……」

「おう……」


 双葉のまだ顔がちょっと赤い。

 兄妹でこれは気まずいぞ。



ここまでお読み頂きありがとうございます。

続きもお楽しみに!


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― 新着の感想 ―
[一言] 青森県むつ市のふるさと納税ではホタテの貝殻で作った水着がありますな。
[一言] とても良かった(=^▽^)σ
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