表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

157/426

9章:ラブレターフロムギリシャ(14)

 アクセルが魔力放出を始めた数分後、オレと由依以外の全員が脱落した。


「はぁはぁ……くそっ! 全身から魔力放出をしてるヤツが、なんであんなにもつんだ……」


 アクセルは砂浜で大の字になり、指一本動かせないようだ。 


 さすがの由依も、疲労の見える表情で必死に集中している。

 疲れた状態で気を散らすと制御がきかなくなり、一気に魔力を放出しきってしまうからだ。


 そうしてついに、教官の代わりをしていたオリヴィアも脱落し、オレと由依だけになった。

 これ以上、長引かせる意味はないな。


「合わせろ、由依」


 由依は返事をする余裕もないらしく、小さく頷いた。


 オレは全身から立ち昇らせる魔力を、少しずつ大きくしていく。


「「「おお……」」」


 兵士達がどよめくと同時に、由依の額から汗が噴き出した。

 よくついてきているが、ここまでだな。


 オレは放出する魔力を一気に大きくした。

 魔力がビルの五階ほどの高さまで噴き上がった。


 本来はこの光、見えないほうがいい。

 魔力の一部が、光に変換されてしまっているということだからだ。

 よく光を漏らしては、師匠に怒られたものだ。

 演歌歌手がろうそくをゆらさずに発声をするようなものだろうか。


「も……もうだめ……」


 由依がその場にへたり込んだのを確認すると、オレも魔力の放出を止めた。


「化物め……本当に人間かよ……」


 アクセルがぽつりと呟いた。


「普通の人からすれば、あんたらも十分化け物だろ。人間とあんたらの差以上に、オレとあんたらに差があるってだけだ。自分を世界標準だと思うのはやめるんだな」

「くっ……」


 アクセルが悔しそうに顔を歪めたが、それ以上文句を言ってくることはなかった。

 少し力を見せた甲斐があったな。


 他の連中もオレと由依の実力はわかっただろうし、めんどうな絡み方をしてくるヤツはいないだろう。

 やはりこういう脳筋連中には最初が肝心だな。


「想像を遥かに超えていたよ。どうだ、オレの代わりに戦闘教官をしてみないか?」


 教官がとんでもないことを言い出した。


「あなた達がとる戦略なんて知りませんよ」

「そこはオレがやる。キミには戦術部分をお願いしたい。今のを見て文句を言う者はここにはいないはずだ。アクセルを含めてな」


 教官がちらりとアクセルを見ると、顔をしかめた彼は悔しそうに口を開いた。


「ぐ……ぐぬぬぬ……ああもう! わかったよ! わかってたよ! コイツが強いなんてことは、最初に拳を止められた時からな!」


「だそうだ。頼めるね? キミだって自分より弱い者に教わるのはいやだろう?」

「わかりましたよ。ただし、オレの指導は厳しいですよ?」

「安心したまえ。彼らは厳しい訓練には慣れている」


 そこまで言うなら、ちょっともんでやるとするか。


ここまでお読み頂きありがとうございます。

続きもお楽しみに!


ブックマーク、高評価での応援をなにとぞ! なにとぞよろしくお願いいたします!

(この下にある★5をぽちっと)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 訓練が終わる頃には 「こんな化物よこしやがって」 と、兵士たちの由衣パパに対するヘイトが限界突破してそうだ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ