8章:ブラッディドリーマー(20) SIDE ウルズ
SIDE ウルズ
祭りで気の高ぶった人間の目玉は、とても美味い。
これまで色んな部位を色んな食べ方で試したが、これが一番美味い。
特に若い人間の集まるこの学園祭というやつは、最高の食堂だ。
それにしても、せっかく苦労して作った結界を無駄にしたあの人間はなんだ?
あれが最近噂になっているヴァリアントハンターだろうか。
たしかに強そうだった。
正面から戦って、勝ち目があるかはかなり怪しい。
戦闘能力はそれなりにある方と自負してはいるが、あのスサノオを倒したなんて噂もある。
人間がスサノオに勝てるとはとても思えないのだけど。
だがアタシにはこの能力がある。
いくらあの人間が強くても、アタシの食事を邪魔させない。
せっかく苦労して設置したループポイントなのだ。
何度も味わわないと、元がとれない。
次に設置できるのはかなり先になってしまう。
しかし、最後のループは食べずに退散か……。
アタシ達を狩りまわっているような人間と戦うのはゴメンだし、しょうがない。
君子危うきに近寄らず。
人間のことわざだったかな。
この能力で繰り返せば、最高に美味しいご飯を何回でも食べられるけど、最後はお腹が膨らまないのが難点だ。
我慢するのがとっても大変。
群れるのは好きじゃないけど、今夜は『食堂』にでも行こうか。
ここまでお読み頂きありがとうございます。
続きもお楽しみに!
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