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8章:ブラッディドリーマー(17)

 ついにやってきた、学園際二日目にして、一般公開日当日。

 学内は朝から老若男女様々なお客さんでごったがえしていた。

 『実行委員』の腕章をつけたオレと宇佐野は、しょっちゅうお客さんから話しかけられた。

 その殆どが、『ユリミラ喫茶はどこだ』という問い合わせである。

 狙いは大成功だ。

 どう考えてもキャパオーバーだが……昨日の時点でそうだったし、由依達ならなんとかするだろう。


 こっちはこっちでゲストの案内をしないとな。


 学園祭一般公開日の目玉の一つが、人気ラジオパーソナリティーによるトークショー&公開録音だ。

 ユリミラ喫茶の宣伝に使わせてもらったのも記憶に新しい。

 オレの仕事として、そのパーソナリティーの案内がある。

 一時的に宇佐野と別れての仕事だ。


「ようこそいらっしゃいませ。実行委員の難波です」


 関係者用のエントランスに現れたパーソナリティーを、控え室に案内する。

 一般客の目に付きにくい導線は確保済みだ。


「やあどうも。ハガキもくれたコだよね。いやあ、色々考えるもんだ。僕が高校生の頃はもっとアホだったよ」

「たまたま思いついただけですよ」

「それを実行に移せることが大事さ」

「ありがとうございます」


 そんな会話をしながら、パーソナリティーを控え室へと通した。

 ちょうどそこに現れたのは、差し入れを持った由依だ。

 この時間に届くようにお願いしておいたのだ。

 食器類は、商店街で援助を依頼した時に借りた良いモノを使っている。


「うわあ……キミのところの制服? めちゃくちゃかわいいね」

「着てるモデルが良いので」

「ちょっとカズ……」


 こういったことを言われ慣れているはずの由依が、めずらしく真っ赤になった。


「あれ? キミたちもしかしてつきあってるの? うらやましいなあ。局内でもこんな美少女、お目にかかれないよ」

「つきあってるわけじゃないですけどね」

「おや、そうなの? これは余計なことを言ったね。お兄さんは二人の未来を応援しているよ」

「うぅ……し、失礼します……」


 由依は真っ赤になったまま礼をすると、控え室を出て行った。


「それでは、しばらくこのままお待ちください。出番の前に、担当者が説明とご案内にまいりますので」


 続いてオレも礼をして控え室を出た。

 ここからは、メインステージ担当者の仕事だ。

 オレは三十分の昼休憩である。

 手元の時計をみると、現在13時。

 予定通りの進行だ。


 自分のクラスへ向かってみるか。

 さすがに今日は混雑がすごいので、食べられるとは思えないが。


「きゃっ」


 オレが教室へと向かう廊下の角を曲がると、反対側からやってきた宇佐野とぶつかりそうになった。


「よかった、会えた」

「オレを探してたのか?」

「うん……あのね……」


 宇佐野はいつにもましてモジモジしている。


「どうした?」

「校内がどこも混んでるかなって思ってね。お弁当、難波君のも作ってきたんだ……。ほら、こないだ予算のお仕事手伝ってもらったでしょ? だから、そのお礼に一緒にどうかなって……」


 宇佐野の手には、大きめの巾着袋が下げられていた。

 あれが弁当だとすると、二人分はあるだろう。


「ありがとう。じゃあ、さくっと食べちゃうか。休憩時間は短いしな」

「う、うん!」


 お礼だと言うなら、無下にはしにくい。

 クラスの様子を見に行く約束をしていたわけではないし、彼らなら上手いことやっているだろう。

 ここはありがたく頂いておこう。


ここまでお読み頂きありがとうございます。

続きもお楽しみに!


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― 新着の感想 ―
[一言] 一生懸命作ってきたであろう手作り弁当をいくら時間がないとはいえサクッと食べるかは可哀想だぞ難波あー! 要員なんだから大事におなしゃっす!
[一言] 外から人来てるけど教室無事だと良いな(๑╹ω╹๑ )
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