表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

102/426

7章:オレにとってはぬるキャン△(6)

 発煙筒が焚かれた場所には、チェックポイントがあった。

 最初に『作戦』を説明したチームのメンバーも、8人ほどその場に来ている。


 由依と双葉は、チェックポイントに置かれた機械で、地図の裏に書かれた枠にスタンプを押した。

 タイムカードのように、時刻も自動で記載されるものだ。


「さすがお兄ちゃんの作戦だね。こんなに早く一つ目を見つけちゃうなんて」

「まあな。コーチはあえて勘違いするような説明をしていたが、他のチームと協力しちゃいけないなんて一言も言わなかったからな」


 言葉の裏を読むと、協力しろと言っているようなものだった


「気付いたの、お兄ちゃんと白鳥さんだけだったね」

「みんな優等生だけあって、言われたことを素直にこなす連中だったからな。

 発煙筒がチームに1本ではなく2本配られたこと、チェックポイントのヒントが極端に少ないこと、勝利の報酬が分け合うことのできる食料であること。

 このあたりを考えれば、発煙筒を連絡手段に使えと言っているようなものだからな」


 評価という点ではおそらく、これに気づき、他のメンバーをまとめられるかどうかがポイントだろう。

 正直オレは、このキャンプでどんな評価をうけようがどうでもいいのだが、由依や双葉が勝ちたいと望むなら叶えてやりたい。


 共闘を選択してくれた他チームとの約束は、チェックポイントを見つけたら発煙筒を焚くことだけ。

 他のチームを待つ必要はなく、最終的に誰がトップをとっても、賞品は山分けだ。

 作戦を聞いていない連中もいずれ気付くだろうが、それはそれでよしとすることにした。


「ありがとう白鳥さん。おかげで助かったぜ。きっとうちのチームだけじゃ見つけられなかった」「そうそう、まさかこの課題にそんな裏があったなんてね」


 他のチームから由依に賞賛の声がかけられる。


「この作戦を考えたの、私じゃなくてカズなんだ。だからお礼なら彼にね」


 由依の一言に、その場にいた連中は一様に驚いた。


「へえ……難波君だっけ? ありがとな」「白鳥さんと噂になる人ってのは違うなあ」


 インネンをつけられるかとも思ったが、素直に褒められてしまった。

 できた連中だ。

 なんともむずがゆいな……。


「でしょ?」

「なんたってうちのお兄ちゃんだからね」


 由依と双葉は実に嬉しそうに微笑んだ。

 もしかしてこの課題に勝ちたかったのって、オレを周囲に認めさせるため……というのは考えすぎだろうか。


「さぁ、次行ってみましょう!」

「「「おおー!」」」


 由依の合図で、チームは再び山へと散会した。



ここまでお読み頂きありがとうございます。

続きもお楽しみに!


ブックマーク、高評価での応援をなにとぞ! なにとぞよろしくお願いいたします!

(この下にある★5をぽちっと)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ