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加速する初めての気持ち5

ドアの向こうで、布か何かが当たって摩れる音がする。


「リチャードのせいで開けてくれないんじゃないのー?」


ユーシュテが言い、「こら」とディノスがたしなめた。


「開けないで下さい……」


小さな声が聞こえた。やはりレティがドアを開けられないようにしているようだ。


「来ないで……あっち行って下さい……」

「!」


初めての拒絶。リックは愕然とした。


「何でだ、レティ……!怒ってるのか?」

「ちがっ!」


レティの声が大きくなった。リックはレティの反応を待つ。

少し経って、レティが呟いた。


「――ユースちゃんなら入ってもいいよ……」


そして少しドアが開いた。


「リック様はダメ……」


ディノスがユーシュテをドアの側に下ろした。中に入ったらドアが閉められた。

膝を抱えてしゃがんだレティ。ユーシュテは腕を組んでレティの前に立った。


「どうしたの?」

「それがね……」


眉尻を下げ、レティは自分を抱き締めるようにしていた腕を緩める。

ぷるるん。ティーシャツの布の中にきつそうにおさまる胸が揺れた。


「はぁあああ?何それぇええ!?」


ユーシュテが目を見開く。それから大きな姿に変わる。


「あたしより大きいとか!」


彼女の胸は、いつもブラウスやワンピースの布にギリギリピッタリな感じだが、レティのはそれを上回る。


「腫れてんの?」

「違うみたい……。痒くないし痛くないし……」

「じゃあ、何でそうなるのよ!」

「わかんないよぉー。起きたらこうなってて」


恥ずかしくてたまらない顔が真っ赤に染まり、半分ベソをかいている。


「夢の中でね、リック様に胸とお尻の大きい女の人が抱きついてたの。悲しくて悔しくて、それから寝ながら体が暑かったんだけど」

「夢で嫉妬してまな板から巨乳になるって、どんな体よ」

「どうしたら治るの?」

「知らないわよ」


ユーシュテが呆れと驚きを交え、頭と肩をガックリ落とした。


「まぁ……、リチャードは喜ぶんじゃないの?見せたら?」

「ええー!やっ、そんなのやだっ!恥ずかしいもんー」


レティは胸を隠すようにして、膝に伏せてしまった。


「だからって、いつまでも書庫に立て籠られても困るんだけど。とりあえず、あの二人は追い払っておこうかしらね……」


ユーシュテは立ち上がり、ドアから顔を出した。


「二人ともどっか行って。ちょっと面倒なことになってて、興奮状態だから」


しっしっと手で離れるようにリアクションする。


「興奮状態?レティが怒ってか?」

「違うわよ。怒ってない。事情は後で説明してあげるから。とにかく男は邪魔なの」

「リック、食堂で待とう」


ディノスが言い、リックも従うことにした。




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