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狙われた歌姫と現れた鳳凰6

(姿を隠すなら、視覚で探さなければいい)


鳳凰の背に片膝を着いたリックは上空で目を閉じて気配を探ろうとしたが、前方に信じられないものを見た。

宙に光が急に出たと思ったら海がキラキラと光り、透き通った金の星のオブジェが出現したのだ。

そして、蜃気楼のように空気が歪んで黒い船が現れた。

鳳凰が進むのを止め、その場にとどまる。


「何だ……?」


激しく損傷した船体を貫くクリスタルの柱、それが支える星。

下から上に視線を滑らせ、そして星の中に揺らめくシルエットを見つけた。

アプリコットブラウンの髪、金の翼、裸に近い姿で胸元で祈るように手を組合せ、目を閉じて微動だにしない女。


「レティ!」


よく見れば、甲板の四方から黒船のクルーが武器の矛先をレティに向けている。


「守るぞ!急げ!」


鳳凰は風に乗り、猛スピードでクリスタルの方へ進む。


『撃てぇっっ!』


海に響く声に従って攻撃が放たれたとき、クリスタルを守るように風の柱が立った。


『何ィ!!』


風が切れて、中から砲弾を長剣で真っ二つに斬ったリックと鳳凰が現れる。

斬られた砲弾が船の向こうへ飛んで、離れたところで爆発した。


「レティを返してもらいに来た」

『来たな。小さな船の船長め。まさか貴様も契約者だったとは思わなかったがな……』


アイトールが下からリックを睨み上げる。


『歌姫は返さん。この私にこそ相応しい女だ。全力を持って愛を与えてやる!忘れられぬほど刻み込んでな』

「愛……?レティが受け入れたなら、自らを守るようなこんな事態になっているわけがない!ただの押し付けは自己満足なんだよ!」

『ならば、お前と私のどちらの愛が強いか、確めてみれば済むことだ』

「俺はお前には従わない!」


リックは言い放ち、上空へ昇る。見張り台と同じくらいの高さでレティを上から見る。


「あの星の一部分を崩せるか?レティを傷つけないように」


鳳凰は何度か翼を羽ばたかせ、鳴き声を上げて鎌のような風を放った。

ところが星に当たる前に、風が散って消えてしまった。


(あの星がレティを完全に守ってるのか。それなら……)


「レティ!」


少し下に降り、レティに向かい合って声をかける。


「レ……」


リックを邪魔し、ピンク色の縄のようなものが伸びてきた。


「!」


気づいた鳳凰が少し横に飛んで避ける。

アイトールがカメレオンの頭に乗り、マストを登ってきていた。リックは舌打ちをする。


(仕方ないか)


長剣を構えるリックと、銃を構えるアイトールが向かい合って睨み合う。


「どちらの攻撃が速いかなど、一目瞭然……」


拡声器は繋げないのか、アイトールの声の大きさは普通だった。不敵な笑いを浮かべて留め金を下げた。


「死ねぇっ!」


乾いた音を響かせて、銃が放たれる。





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