謎解きの時間と小さなお友だち。5
初めて見る、ディノスの優しい顔がそこにあった。
ユーシュテはディノスの首に腕を回し、涙を流した。
「もうっ、私以外の子に優しくしないで!今度したら許さないんだからぁっ!」
わんわん子どものように泣くユーシュテが微笑ましくて、自然と笑みがこぼれた。
レティがリックを見ると目が合って、彼も「まったくしょうがないな」という顔をしていたので安心した。
しばらくしてユーシュテが泣き止み、ディノスは体を離し、指で涙を拭ってやりながら言った。
「ユース、今回のことはレティアーナにきちんと謝るんだ」
「ええっ!?」
ユーシュテが不服そうな声をあげる。その間にディノスはレティに向き合った。
「レティアーナ、今回のことは俺も原因している。迷惑を掛けて申し訳なかった。さあ、ユース」
「どうしても謝らなきゃいけない?」
「ああ」
ディノスは頷いた。
「同じ船の仲間同士、わだかまりはない方がいい」
ユーシュテはディノスの片腕を掴んで、力を入れる。
「……わ、わっ……悪かったわよ」
渾身の謝り。不貞腐れたような声だったが、レティは嬉しくて笑顔になった。
「ねぇ、仲直りしたし、仲良くしよっ」
自分の腕に手を添えて誘ってくるレティに驚き、のけぞった。
(何なのこの子ぉっ!)
「いー・やっ」
ユーシュテはレティから顔を背けた。
「仲直りって最初から仲とかないし、仲良くなんてしないっ!大体、ちっぱい!あんたを仲間に認めてないんだからね!」
その言葉でレティは思い出した。
「そう言えば、ちっぱいってどういう意味?」
「ちっぱい?」
ディノスが妙な顔をする。ユーシュテが首を傾げるレティを睨んだ。
「げげっ」
リックが慌ててレティの背後から手を伸ばして止めようとしたが、間に合わなかった。
「何でわかんないの!?ここがまな板ってことよ!」
ユーシュテが自分の豊満な胸に手を当て、叫んだ。
「だってあんたのおっぱい、あんなのおっぱいなんて言わないわよ!」
恥ずかしい言葉の連呼に、ディノスは顔に手を当ててため息をついた。




