謎解きの時間と小さなお友だち。4
「レティ、メモを持ってるか?」
リックは頷き、そしてレティに問う。
持っていた探偵ジャケットの内ポケットから、メモを取り出して渡した。
リックは表紙を捲ってそれをユーシュテに突きつける。
「ここに書いてあるのはユーシュテ、お前の仕業だろう?床から浮いた本が動いたのは、お前が下に居たからだ。電気を消したり物を投げたり動かしたり、上から落としたりしたのもそうだ。レティに姿が見えないようにしてやったんだな?」
図星を隠すようにして、ユーシュテはそっぽを向いた。
「何でレティに固執する?」
「……」
「ユース、リックが言ったことは本当か?」
ユーシュテが視線をそらしたままなので、見守っていたディノスが間に入った。
「違うなら違うと言えばいいし、そうならどうしてそう言うことをしたのか話してほしい。黙っていたら良いように解釈されてしまうぞ」
ユーシュテの顔が前を向いた。
「だって……」
光を発し、再び大きくなった。机に腰を掛け、足の間に両手を入れて俯いた。
ポツッと、スカートに涙が落ちるのをレティは見た。
「貴方のすごく近くにあの子がいたんだもの!」
人差し指がレティに向く。
「いつの話だ?」
「一昨日よ!リチャードがいなくなって、泣きながら海を見るその子の目元を拭ってやったでしょ!」
リックの質問に、大きな声で答えながら顔を赤くしてディノスを見る。
「許せなかったのよ。別に他意はないって分かってても。優しくされて嬉しそうにした顔が……」
「要するに嫉妬か。」
「ちょっ、たった二文字で片付けないでくれる!?」
ユーシュテが目を吊り上げ、リックを睨みつける。
「だってそうだろ。レティが可愛くて妬いたんだろ?」
「はぁあっ!?あんたバッカじゃないのっ?人の話聞いてた!?ちっぱいが可愛いからなんて、一言も言ってないっつーのぉ!」
「ちっぱいって言うな!」
「んむむむむむぅっ……」
逆三角の目をしたリックとユーシュテの間で黄色い火花が散る。
ディノスはため息をついて二人の肩に手を置き、引き剥がした。
「とにかく。俺にシーツをかけただけじゃ、飽き足りなかったって言うことか」
「えーっ!あの時ディノス様にシーツを落としたのも!?」
「シーツを払ったとき、物干し竿の所に立つユースと目が合った。それから何か様子がおかしいと思ってはいたが……」
ディノスはいつもリックがレティにしてくれるように、ポンとユーシュテの頭に手を置いた。
「俺が悪かった」




