謎解きの時間と小さなお友だち。3
「ディノス様の優しさに救われたのですね。私にとって、リック様がそうであるように」
隣に立つリックを見上げれば、肩に手が置かれて軽く抱き寄せられた。
安心させるように、大きな手が一定のリズムでレティの肩を叩いてくれる。
「彼女を見てしまって、運命を狂わせた責任もあるしな」
「それだけじゃないだろ。自分の女として連れてきたんだろうが」
ディノスの呟きに、リックがからかうように言った。
「それは素敵ですね」
レティがにっこりしたら、ディノスが笑った。
「レティアーナも似たようなものだろう」
「でも私は――」
「うーん……」
レティが話し始めると同時に、呻き声が混じる。枕に手を着き、むくりと小さな体が起き上がった。
「ユース、大丈夫か?開いたドアに衝突したらしいな」
ディノスが覗き込んだ。頷きを返し、顔を上げたユーシュテの目が丸くなる。
「あーっ!あんたたち!」
「体はどこも痛くないですか?」
レティがディノスの隣に立ち、身を屈めて言ったら睨み返された。
「痛いに決まってるじゃない!あちこちズタボロだから!それもこれもあんた達のせいじゃないの」
「はんっ。どう見ても自業自得だな」
リックの言葉に、ユーシュテが傷ついたような顔をする。
目に涙を浮かべ、机に手をついていたディノスの手首にすがった。
「酷いのよ……っ。この二人があたしを追いかけ回すの。苛めるのっ!」
「逆だろ。」
「ごめんね。痛かったよね?」
冷めたリックとは反対に、レティはすぐに謝った。
「いやいや、レティは謝らなくていいぞ」
「でもリック様……」
「本当に鬼ね!あたしはこんなに体が小さいのにっ!体格差で勝てるわけないじゃない!横暴よ!」
わっと腕に伏せるようにして泣き出され、レティはおろおろとした。
「リック様、可哀想です。泣かせちゃダメですよぉ」
「嘘泣きはやめろ。だいたい逃げてた間のお前はでかかっただろうが」
レティの頭にポンポンと手をあてながら、リックは言った。
すると泣き声がピタリとやんで、ユーシュテが起き上がる。
「ばれたか。チッ」
(っのやろー。今、舌打ちしたな)
リックはこめかみに青筋を立てた。
「御託は良いから、さっさとどういうわけか説明しやがれ」
イライラが募ってきて、腕組をし、目を逆立てて怒りの印に燃えたオーラを出す。
「何でレティに嫌がらせをする」
「へ?」
レティは驚く。
「嫌がらせって、この子がですか?」




