表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ラグナロクの翼 ―あの蒼い空と海の彼方―  作者: Mayu
様々な出会いの章
48/451

歌姫さんの探偵になる決心

「……ふぁ?」


暑くて寝返りを打とうとしたら動きにくい。目を覚ました。

ゆったりしたリズムで上下する大きな体。

そうだ。ここは船でリックの部屋にいるんだ、と、レティは思い出した。

目の前にある手がレティの手の甲をすっぽり包んでいて、怖がらないようにしてくれたんだと思うと幸せな気持ちになった。

そっとそこで手の向きを変えて指を合わせてみる。


「……こら。」


頭の上で低い声がして、ビクッと肩を揺らす。


「寝てる間に人の手で遊ぶんじゃない」

「起こしてしまいましたか?」

「いや。レティが起きる少し前に起きた」


上を向いて訊ねたら、寝起きの目が優しそうに此方を見ていた。


「おはようございます」

「おはよう」

「リック様の手は大きいなと思っていたんです」


何て言えば。


「ガオー……」


と低い声が鳴き真似をして、レティの手を丸めて自分の手の中に納めてしまった。


「リック様……。パーしてください」


言う通りにしたら、レティの手が合わせられた。


「長さも幅も勝てませんねぇ」


特別小さい手ではないが、どうやらリックの手が一回り大きいらしい。

自分の指を触ったりつついたりしているレティを見守っていると、あることに気がついた。

横向きになっているせいで、レティのパジャマの上の首元が少し大きめに開いている。


「……」


そこから見えるのは華奢な体。胸が。


(まさか)


昨夜のレティの言葉を思い出した。


『ちっぱいって何ですか?』


(小さい胸で……?)


十代前半の娘が、丁度大人の身体になり始めた頃。そんな淡い膨らみと変わらない。

そう言えば何度か体を近くに寄せたのに、女性特有の柔らかい感触がそんなになかったと思い出した。


(こりゃ、口が裂けても意味は言えねーな)


知らない方が傷つかずに済むこともあるのだ。

目線を上に上げ、困った顔をするリックだった。同時に。


(そんなことを言うような奴は……)


「そろそろ起きるか」


ベッドに肘をついて上半身を起こし、レティに声をかけた。

これ以上ベッドの中にいたら、余計なことを悶々と考えてしまいそうだと思ったからだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ