船に隠された不思議な秘密6
「何とかしとけよ」
「何とかって……」
リックの無茶な注文に、ディノスは困った顔をした。
「このままじゃレティがずっと不安だろうが」
なぁ?とリックがレティを見下ろす。
レティは頷く代わりにミルクを啜った。
「ミルク飲んだら寝るか?レティ。一人で寝る訳じゃないから大丈夫だろ?」
コクンとレティは頷いた。ミルクは残る三分の一になっていた。
「ああ、その前に髪を乾かさないとな」
甲斐甲斐しい男に、ディノスの目が細まる。
「お前、えらく変わったな」
「ああ?どうでもいいじゃねぇか。俺は俺だ」
「まあ、構わんが。じゃあ、俺は行くぞ」
「おー。呼びつけて悪かった。助かったよ、じゃあな」
ディノスは席を立ち、リックが手を上げた。
あの大騒ぎのお陰で髪が生乾きになっていたので、ドライヤーは軽く当てるだけで良かった。
ピンク色のドライヤーのコードを抜き、纏めて机に置いた。
「レティ、先に入ってくれ」
ハーブティの最後を飲みきったリックが言った。
レティは、リックが置いたそれを自分の使ったカップと一緒にトレーへ乗せた。
てろんとした素材の半袖の上とお揃いの七分丈の下を履いていたレティは、ベッドに潜り込んだ。そこからリックを見ながら言う。
「リック様」
「んー?」
「はちみつミルク、ありがとうございました。美味しかったです」
「そうか。それは良かった」
答えながら、リックがシャツを脱いだ。
体に古傷が幾つかある。だけど逞しい腕と背中。
レティは何故か恥ずかしくなって、壁の方を向いた。音でそれに気づいたリックが少し笑いを浮かべる。
Tシャツを着て、ジャケットをクローゼットのハンガーにかけた。
それからその中にある衣装ケースの引き出しを開け、ジャージに履き替えた。




