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つかの間の日常?9

「でもあの時戦ってくださって、勇気があって素敵です。私はほぼ頭が真っ白であわてるだけだったのに、とっさに助けていただきましたし感謝しかないんです。ありがとうございます」


レティの言葉を聞いて、相手が少し沈黙した。そして、盛大な溜息。


「ああぁー。もうホンット何やってんだろ……。こんないい子一人すら逃がせなくて、情けないわ」


だんだん暗さに目が慣れてきて、まだ彼女は床に寝転がったままだと分かった。レティは手首の自由を奪われただけだったが、彼女は上半身にも縄がかかっている。


「でもでも、人数が結構いましたし、私たちだけだと厳しかったですよ」

「うん。それでも役目だから、ちゃんとしないといけなかったんだけどね」

「お役目ですか?」

「弱者を守るの。そのために訓練だってしてる。ま、こんなザマじゃ説得力ないか」

「そんなこと……」


なんと言えばいいか一瞬言葉に詰まってしまった。相手が話題を変えた。


「ところでさ、君なんていうの?あたしはね、リンリー・オルフェウスっていうんだ」

「私はレティアーナです」

「じゃあレティアーナさん」

「レティでいいですよ。親しい方にはそう呼ばれているんです」

「そうなんだ。じゃあこっちもリンリーって呼んで」

「はいっ」


こんな暗い所に閉じ込められた危機的状況にも、言葉を交わせる誰かが側にいるということが心強い思いを生み出す。

コホンと咳ばらいをし、リンリーは話の続きを始めた。上に誰かがいることを懸念したのか、ヒソヒソ声になる。


「改めてレティ。心配しなくても助けが来るよ」

「あっ、そうですね」


どこにいようとリックは必ずレティを見つけるまで探すし、町のゴロツキ程度が相手では、彼にとって誇りを払い落とすようなものだ。


「あれ?レティにも助けの当てがあるの?」

「はい。今頃、私を探し回ってると思います。良く分からないけど、引き離されてしまいまして」

「え!?どういうこと?」

「実は町でお財布を盗られたんです。取り戻そうと追いかけたら行き止まりで犯人さんが消えて、急に私は違う場所に立っていたといいますか……」


不思議体験を話した。例えるならあれは、ワープとか瞬間移動のようなものだろう。

時折発現する自分の力なのかも良く分からない。あの金色に輝く力を必要に応じて自在に操れるわけではないし、良く分かっていないからだ。発言したその時の感情に合わせ、力の方が勝手に働きかけているといった方が正しいだろう。


「えっ!?それってもしかして魔法陣踏んだ?」

「え?あの、まほ……?」


聞いたとのない言葉で、レティはうまく聞き取れなかった。

リンリーは話し始める。最近この町で、行方不明や誘拐未遂事件がちらほら起きていて、被害対象は観光など外から入ってきた人が多い。

犯罪組織に目星をつけ、リンリーの職場が追跡や見回りの為に、移動用のワープ――魔法陣を設置しており、レティがたまたまそれを踏んでしまったのでは?ということだった。


「でもおっかしいなー。普通の人が踏んでも反応しないはずなんだけど。使えるのは限られた人なんだよ」


うーん、とリンリーは唸る。


「あたしの仲間とか。後は可能性として契約者かなぁ。それも恐ろしく強い魔力秘めた感じの。レティも契約者っぽいけど、さっき見たのだとそこまで高い気はしなかったし。何でかなぁ」

「あっ!」


そういえばあの時、リックが側にいた。彼が契約している鳳凰は特急で、魔力は計り知れない。そもそも、リック自身が身体的にも優れているため、鳳凰の最大の力がどこまでかは分からない。鳳凰と共に戦うところは何度か見たが、あれはまだ全力ではなかった気もする。


(私とリック様がいたから?)



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