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つかの間の日常?4

レティの様子から、まだ何か気にしていると分かっているディノスは、静かに待っている。そこでテーブルの書類を指した。


「あの、これはもう終わった分ですか?」

「いや、まだ目を通していない分だ」

「こんなに沢山お一人で……?」

「レティアーナが気にすることはない。後は此方でやれる」

「でも……」


これだけの量をこなすのに、何時間かかるのだろう。


「気にしなくていいぞ、レティ。ディノスはこの程度すぐ捌ける」

「……ったくお前は」


額を指で押さえ、ディノスがため息をつく。

すぐに姿勢を正し、厳しい顔を崩して少し笑ってくれる。


「ユースも手伝いに来るから大丈夫だ。レティアーナ」

「はい」

「あまり具合が芳しくないのだろう?少しずつでもいいから、体を休める時間をこまめにして増やすといい。今日は助かった」

「どうしてそれを」


自然と視線がリックに向いてしまう。リックはクスッと笑って答える。


「まあ、この船のことだから俺からも話すが、ディノスは医務室で船員の体調を毎日聞いてるんだ」

「ディノス様……」


初めにディノスを紹介された日、彼はこの船の中のことを一番把握していると、リックが言っていたのを思い出す。


「あの!ちゃんと私休みます!でも、ディノス様も休んでくださいね」

「ああ。ありがとう」

「私もユースちゃんみたいに手伝いますから。お届け物でも、書類まとめでも、肩揉みでも何でもやります」

「……ふっ」


大真面目に言ったつもりなのだが、リックに笑われてしまった。


「ええー。何で笑うんですかぁ」

「肩揉みとか……。レティはホント可愛いなぁ」

「レティアーナ。もしもの時は頼む」

「はい」

「レティ。休憩取るぞー」


リックは立ち上がり、歩いてきてレティの肩に手を置いた。レティはディノスに向かって軽く頭を下げ、リックに連れられて出て行った。

その数分後、ドアがノックされる。


「はい」


書類に目を落としたまま返事をした。ドアが開いて、コーヒーの香りがふわりと漂ってきた。


「どんな感じ?」


ユーシュテが盆を片手に歩いてきて、ディノスの机の空いたところにマグカップを置いた。


「まあ、結構あるかな」

「手伝うわよ。あっ!そー言えばリチャードのやつ、サボってばっかでちゃんと仕事したんでしょーね!」

「今日は溜まってた分をきちんとやった。レティアーナの監視があったからな」

「珍しい。そりゃリチャードを縛り付けておくには、有能すぎる秘書だわ」

「まったくだ……」

「普段から仕事してなくて貴方に皺寄せ来てたけど、今は不安定なレティのこともあって、さらに厳選したものしか回してないってのに。呆れたやつぅ」


ぷくりと頬を膨らませ、ユーシュテは文句を言う。


「まあそういってやるな。仕事は困るが、できるだけレティアーナを見てやりたい気持ちはわからんでもない」

「ディノス。貴方も有能な秘書持ってるんだから、いつでも呼びつけてもらって構わないわよ」

「ああ。ユースにはいつも助けられてる」

「当然よ。これは終わってるわね。持って行ってくるわ。また戻ってくる!早く仕事片づけて、島でデートしなくちゃ」


慣れているため、机をざっと見てディノスが処理済みにしている書類を抱えて部屋を出ていく。


「頼む」


出ていくユーシュテの背中を見送り、コーヒーを一口含んでディノスはまた書面に目を戻した。



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