無意識の声
秘められた謎
キミ自身のこと
それは誰も知らない、キミすら知らない
綻びはゆっくりと解けていく……。
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戦闘の終わり。仲間同士無事を確かめ合う。
ケガをしていても、大体皆元気そうだ。ディノスのみ、ダメージが少し酷かったようだ。
それでも、側に寄り添うユーシュテと話せるくらいだ。
レティは安堵した表情で手を重ねてその中に立っていて、リックはクルーの間を歩いて彼女へ向かっていた。 けれど辿り着く前。
(あ、れ……?)
違和感に気づき、藍色の視界が端から暗くなる。――ドサッ。そのまま倒れた。
「!?」
「レティ!!」
周りのクルーも驚き静まる。リックは声を上げて走り、床に膝をつく。腕を差し入れて華奢な体を起こす。ふわふわの髪がサラサラと揺れた。
ユーシュテとディノスもすぐに側へ来た。遅れて、仲間たちが四人を丸く囲む。
「レティっ!」
ユーシュテが焦った声を上げる。リックは小さな唇の上に手をかざし、様子を見る。
「ユース、大丈夫だ」
「レティは寝てるだけだ」
ゆっくり規則正しい呼吸が、それを教えてくれていた。
「レティアーナの力は結構体力消費するみたいでな。使った後は、眠りで回復を補ってるようなんだ」
ディノスがユーシュテの肩に手を置いて説明をした。
「そっか。全く心配させて……。元々もやしみたいな体力してるからよ。人間はやわなんだから」
床に手をついて、頭をがっくりと下げた。はぁーっとため息をつき、ユーシュテは眉を下げて笑う。
(力を使わせないようにするはずが、逆にこの力に助けられてばかりだな。今回はまた随分力を使ったみたいだし、いつ目覚めるか……)
自分の力不足を痛感しつつ、周りを心配させないようにため息をかみ殺す。 レティを抱いて立ち上がった。
「レティを寝かせてくる。各自、傷の手当てはきっちりしておけ。軽傷な者は後片付けを頼む」
「ディノス。リチャードが帰って来たことだし、貴方も休みましょ」
「ああ」
ユーシュテに手を引かれ、先を歩くリックの後ろをディノスもついていく。リックの部屋と医務室の方向へ別れる通路に来たところで、真紅の後ろ姿が立ち止まった。
「じゃあ、俺はレティを自分の部屋に連れていくから」
「……リック」
「?」
「アレックスと連絡が取れたんだろう?何か有益な情報とれたか?」
一旦別れを告げようとしたリックに対し、ディノスが尋ねた。留守にする理由は、副船長である彼には朝早く医務室への内線で知らせた。 昨夜、ポストシーガルがアルからの返信を運んで来たからだ。
「ディノス。お前、すぐ休まなくて大丈夫なのか?」
「少しくらいなら平気だ」
「そうか……。そうしたら手短にするから、俺の部屋で話そう」
「わかった」
再び三人は歩き出し、船長室へと向かった。




