まるで子どものような6
場所と自分の言った言葉の意味を理解した。
ボンと小さい爆発音でもしそうなくらい、レティの顔が一瞬にして耳まで染まる。
「はっ……?ああ、そんなの、やだ……。あっ、リック様は嫌じゃないです!……けど、そのっ、私っ……そんな、つもりでは、なくて……えとっ」
つっかえつっかえな上に、結局何が言いたいのか全く分からない。
だがリックには分かったし、いたずらの想定通りの結果の反応に愉快で愉快で堪らなかった。
レティの肩に額を置いて、クックッと肩を震わせる。
一方レティは何と説明すればいいのか頭の整理がついていないし、リックが今は可笑しそうに笑っている理由もわからない。
「冗談だ」
「へぇえっ……?」
リックは体を起こし、レティの頬をやわやわと撫でた。
「ずっとというのは冗談だ。次の島まではそうだが……」
不安のようなものを含ませて、レティは見上げてくる。その不安が何なのかすぐに分かる。
彼女の場合は。
「迷惑じゃない、大丈夫だ。ダブルベットではないが普通のシングルよりは幅があるから、レティ一人くらい寝るのに不自由はないはずだ」
「そうなんですね」
(ご迷惑でなくて良かった)
レティは胸を撫で下ろす。
(この子はまったく)
それで納得とか、他に言うことは無いのか。リックはレティの様子を見ながら、ふっと息をついた。
(ったく、あのマスター、かなり過保護な箱入りに育てやがったな)
最初にレティの家へ招かれたときもそうだったが、一人暮らしの女の家に自分の親族以外の男を招く意味がどう受け取られるのか、ここでも一緒に寝るということに関して何も突っ込みがない。
危機感がないというか、なさすぎる。
それを形作るのが鈍感、天然、素直のトリプルパンチだ。逆に手が出しにくいのは幸か不幸か。
連れてきた以上は、全力をかけて守り抜く自信も決意もあるが、これから行く未知の土地でこれでは困る。
(これは……教えることが山ほどあるな)
年頃の成長をしているというのに、その心は外の海の青のように澄みきっていて、例えるならまだ中が。
まるで子どものような。




