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不死鳥の宝石4

ディノスを連れて、リックを引っ張っていくユーシュテ。普段口うるさい割に今回は口数が少なく、でも顔にはしっかり不機嫌さが現れている。逆に怖かった。

ノックをして医務室を開け、リックの襟を力一杯引っ張った。それくらいでよろけたりはしないが、姿勢が多少斜めになる。


「この男を診てちょうだい」

「船長?……てかユーシュテさん、何かめちゃめちゃ怒ってます?」


出迎えた看護師が、ユーシュテの顔を見て尋ねた。


「多少毒抜きされてるからって自分の体を過信してるみたいだから、容赦無く治療して。荒療治で構わないわよ」

「何でそんなにお前が怒るんだ」


落ち着き払ったリックに、ユーシュテはじとっとした視線を向けた。


「怒りますけど!わからないの?あんたレティがケガしたり病気したりしたら、心配するでしょ?逆も同じよ。見たことあるでしょ!?」


リックがウィルギルの二人から追い詰められた時も、死傀儡ゾンビのウイルスに感染した時も。レティは、心が潰されそうな表情をしていた。


「あの子が自分を責めやすいのも、リチャードなら分かってるでしょ!リチャードがそんな体調になってまで乗り込んだら、逆に傷つくわよ。解毒飲んでるし、そんなに時間かからないんだから待ちなさいよね!」


それだけ言い、ユーシュテはツンとそっぽを向いた。腕組みをし、僅かに伺える横顔から怒りがよく見て取れた。


「まあまあ、ユーシュテさん」


看護師が眉を下げ、宥めながらリックに体温計を渡した。ディノスは言いたいことをユーシュテが代わりに言ったので、静かに黙って立っていた。リックの肩にポンと手を乗せる。

丁度医師も入ってきて、リックの前に座った。






そうして暫くした頃。バタバタ……バン!騒々しく走る音。そしてドアが開いた。


「リック兄!」


目を輝かせたユリウスが飛び込んできた。リックが貸したシャツとジーンズを着て、肩にタオルをかけている。


「お静かに。病人がいたりしますからね」


看護師は座っているリックから点滴の針を抜き、処置をしながら言った。ユーシュテはディノスと一緒にベッドに腰をかけ、うとうとして寄りかかっている。


「まじ凄かった!」


そんな周りの様子など気にせず、両手を拳にして言う。


「すげー風呂がでかいじゃん!」

「お前のことだ。泳いだんだろう」

「何でわかんだ?まあいいや。そんなに深さがなかったから、風呂に来た奴等と平泳ぎで勝負したんだぜ!」


ユリウスはレティのことを心配してはいるが、風呂で楽しむこととは別で割り切っている。だからいつも元気なのだろう。

リックが顔を和ませた時、ノックがして船員が数人入ってきた。


「船長、副船長!やっぱここだった。――って、ユリウスさん!やりっ放しは困りますよ!」


風呂上がりであるはずの彼らの唇は青く、震えている。


「騒々しいぞ」


ディノスが口を挟む。


「だってディノスさん。風呂が大変なことに」

「まったく」


ユーシュテを撫でながら、彼女の耳元で囁く。


「悪いユース。少し席を外す」

「……ん」


ユーシュテはベッドガードに腕を預け、その上に頭を乗せて浅く寝てしまった。



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