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ガラスの心12

「!!」


リックもディノスも、自分たちの仲間とは違う気配に気づいた。その直後の警鐘。

シュカの仕業によって体の痺れを感じていたリックだが、それは数十分で消えてしまい、何とか立ち上がれるようになった。


(狙いはレティだったか!)


壁にかけている剣を取り、部屋を飛び出す。通路の部屋の扉が開き、仲間も次々に飛び出していた。


(間に合え!!)


一方ディノスも素早く銃の弾を確認、ドールハウスに手を差し伸べてユーシュテを腕に拾い、部屋を出た。途中、反対の通路に赤いものを目にしたユーシュテが、指を差して声を上げる。


「リチャード!!」


ディノスは角を曲がって、リックを追いかけた。


「リチャード!顔色が少し悪いわよ!」

「多少毒を飲まされたらしい。もう殆ど抜けてるから問題ない」

「当たり前よ。ディノスが全クルーの口にするものに解毒剤を入れるよう、ジャンに予め言いつけてたんだから!」

「助かった。流石お前だな」


隣を走る口数少ない、だがどこまでも細やかな気配りと機転が効く男にリックは礼を述べた。

ディノスは頷きだけを返し、リックとクルーの間を抜け、開け放されたドアから外へ出た。

ざわめき集まるクルーの前にいたのは、巨大なピエロ。その腕にシュカといるのは。


「レティ!!」

「流石船長さん。もう普通に動けるようになったのかしら」


リックの姿に気づいたシュカはニコッと笑い、言った。


「お別れの時間です。親切な船の皆さん。ここでの時間は楽しかった。だけどあたしは、本当の居場所へ帰ります。手土産に彼女を連れて行かせてもらいますね?」

「契約者だったのか。目的と悪意を悟らせないとはなかなかだな」


ディノスは呟く。


「レティを渡す訳にはいかない!」


剣を抜き、リックが構えた。クルーも賛同する。


「そうだ!レティアーナちゃんは、うちの家族なんだよ!」

「渡すとか渡さないとかものじゃない!」

「じゃ、取り返してみたら?」


笑顔を崩さないシュカは言った。そして、手のひらを大勢の前に向ける。


「マジックショー・トリックルーム!!」


ピエロが頭を下げ、薄い箱型の壁のようなものが船全体を包む。


「そんな剣が使い物になるの?ふにゃふにゃよ」

「!!」

「何だこれは!?」


前方のクルーの剣が光ったかと思うとぐにゃぐにゃになり、紙で出来ているようにくたっと折れ曲がる。

リックの剣も一瞬波立ったが、辛うじて普通だった。そんな時、外から大きな声がした。


「リック兄!!これなんだ!」


アオオーン。遠吠えが聞こえ、雪狼がジャンプして突っ込んできた。シュカは一瞬驚いたようだったが、すぐに指先をユリウスに向けた。


「子犬になりなさい!」


雪狼がマーブルの光に包まれ、そして体が縮む。


「マジックボール!!」


シュカの向けた手から様々なカラフルなボールが現れ、ユリウスに向かって飛んで行った。


「うわあぁあ!!」


ぶつかったボールが小さい爆発を起こし、ユリウスが船の外に投げ出された。


「ユリウス!!」


子犬になった雪狼が口から吹雪を吐き出す。海面が固まったが、小さな範囲しか効果を発揮できなかった。



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