まるで子どものような
物珍しさでたくさんの毎日。
毎回驚き、興味を示す。
それはまるで
子どものように。
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もう流石に声も届かないだろうとわかり、歌を止めた。
――パチパチ!背後から拍手がたくさん聞こえてきて、振り返る。
まだ甲板に残っていたクルーたちが手を叩いていた。
レティは彼らに向かい合い、頭をペコリと下げた。そしてまた島のあった方向を眺めた。
「リチャードさん!」
船内から出てきたクルーに呼ばれてリックがそちらを向く。
「見て頂きたいものがあります」
「わかった。すぐ行く」
そう答えた彼がレティの頭を抱き寄せる。
「ちょっと席をはずす」
「私は大丈夫です。行ってらっしゃい、リック様……」
彼は、まだジョアンと別れて新しい環境に置かれたばかりの自分を気にかけてくれている。
きっと、心細くないかと思っているに違いない。
とても嬉しい。だからレティは彼に笑顔を向けて答えた。
「好きなだけ見てて構わない」
二回撫でられて、頭の上にキスが落とされる。
「はい」
レティは頷いて、そしてリックは船内に消えていった。




