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海に旅立ちの歌が響く7

「ジョアンおじ様、行ってきます」


レティが側に来たので、リックは梯子に連れていった。その側にいた男は仲間なのだろう。

レティの鞄を預け、足を滑らせないようにレティの手を引いて上った。


「気をつけて登れ」

「はい」


レティは船上に着いて、あまりにも大勢の人を目にして驚いた。皆、リックの帰りを待っていたらしい。

リックは全員の前にレティを連れて立った。


「今日からこの船に乗る歌姫だ。名はレティアーナ、以上。出港する!」


賑やかな声が広がり、同時に人が散る。錨を上げるなどの作業が終わり、船は港を離れ始めた。


「レティ、こっちだ」


リックはレティをジョアンが見える船の最後尾へ連れていく。

後悔はない。リックに付いていくことを望んだ。それでもジョアンを想って涙が溢れた。

レティの肩にリックの手が触れる。彼は何も言わずに隣にいてくれた。

レティは泣きながら、リックに問う。


「リック様、……歌っても、……いいですか?」


自分を愛してくれた養父へ届かせる歌を。


「ここに歌を縛る制限はない。自由だ。歌ってやれ」


大きく息を吸い込んだ。涙が止まらずに喉が震える。

今回ばかりは上手く歌えないかもしれない。それでも。


(おじ様、私も愛してるわ。おじ様のこと。だから届いて)


レティの歌が波に乗った。いつしか港が小さく小さく見えなくなって、それでも歌った。

これはリックが来る前に思い描いていた予定よりも、少し早い旅立ちの想いを込めた歌。




【旅立ちの章】 終わり


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