表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/451

海に旅立ちの歌が響く6

「大丈夫だ。マスターは呼んである」


レティはリックの肩に手を着いて体を起こした。

港に養父が微笑んで立っていた。しかし、ジョアンの背後にあるやたら大きな船……。


「リック様!あれがリック様の船ですか!?」

「そうだ」


ジョアンの側まで来たので、レティを降ろした。此方を見上げる視線に合わせる。


「俺はリチャード・ローレンス。この海賊船の船長をしている」

「リック様は海賊様でいらしたのですか?」

「ああ」


驚きのあまり海賊にまで『様』をつけるレティに、落ち着いて頷く。


「俺が何者であるかなどどうでもいいだろう?俺の女になりたくて、俺に着いていきたい、それだけでいいんじゃないのか?」

「へええっ?」


レティは変な声を出した。


「確かに私はリック様が大好きですけれど、でもそんな、愛人様とかそう言う立場なんて滅相もないです……」

「……」


流石にリックは頭を抱えたくなった。

昨日大好きと言われたのが、そう言う解釈でなくてどうなるというのだ。


(鈍感な上に天然か。)


ため息をついた。二人のやり取りを聞いていたジョアンは、レティの肩に手を添えた。


「四の五の言ってリックさんを待たせてないで、行きなさい」


そう言ってリックの方へ押し出した。


「おじ様……!?」

「レティがいなくなるのは寂しいよ。けど、俺のためじゃなく、自分のために時間を使いなさい。行きたいんだろう?」


レティは踵を返してジョアンに抱きついた。鼻の奥がツンとして、涙が溢れ出す。


「おじ様、ごめんなさい」

「なーに、謝ることはない。リックさんから話は聞いてるから。レティはレティのやりたいことをやって、幸せになっておくれ。それが俺の幸せだよ」


ジョアンの乾燥気味の手が、レティの頭を撫でる。


「愛してるよ、レティ。俺のところに来てくれてありがとう。リックさんに限ってないとは思うけど、俺はここにいるから。もしも万が一にでも戻ってきたくなったら、その時はいつでも戻っておいで」

「はい」

「さあ、行っておいで」


ジョアンは自分からレティを離した。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ