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ラグナロクの翼 ―あの蒼い空と海の彼方―  作者: Mayu
秘められた力の章
275/451

謎めいた力9

「科学の兵器なんか無いですよ?」

「ちょっとちょっと。君たち仮にも理系君でしょ?頭を使えばいくらでも攻撃できるんじゃないかい?資源の研究ならしてるでしょ。エネルギーは立派な武器だってこと。さっきも電気使ったし」

「それはそうですが、敵が迫ってるこの短時間でどうやって……」

「やらなきゃいけないときはやるよ。指示するから準備して」

「はいっ」


カナラスは近くにいた女性研究員の抱えていたバインダーを取り上げ、挟まっていた紙を裏返してペンを走らせた。







小さい鳳凰が完全に追い付き、カモメの周りでグルグルと回りだす。


(リチャードの鳳凰!――ということは)


腕は掴まれたままだったので、ユーシュテは出来るだけ視線を背後に向ける。

離れた空に大きな鳥が見えた。


(来てくれた!)


スピードを上げて近づく鳳凰とユーシュテの距離が狭まっていく。

その時、カモメの爪が伸びて形を変え、檻になった。


「カモメの足が檻になったぞ。奪い返させないつもりか。ディノス。お前の言う通り、ただのカモメじゃないな」

「変化があったと言うことは、相応に何かしら起こるかもしれないな」

「ああ」


ディノスは腰に着けていた銃を出し、リックもレティを支えていない方の手を剣に添えた。

少し経って、カモメは急に上昇した。


「何だ?」

「塔だ!」


リックは変化を見つけた。塔の一部が光を貯めている。

そして何かを考える間もなく、そこから此方に向かって太い光線が放たれた。


(ヤバい!)


リックが剣から手を放し、右手を前から横に向ける。盾のように風が前に広がる。

衝撃が風にぶつかった。


「きゃっ!」


咄嗟の防御だったのでそんなに堅くもなく、衝撃が盾から伝わってくる。

鳳凰が驚いて鳴き声を上げた。安定していたはずの鳳凰の体がぐらつき、レティは小さく悲鳴を上げる。

前方しか守れていない。衝撃はやがて分散して細い光になり、襲いかかってきた。

バリバリバリ!!!!

光の正体は電気で、鳳凰ごと戒めのように取り巻いてきた。


「うああっ!!」

「ぐうっ!」

「いやあぁっっ!」


電撃が三人を貫き、再び鳳凰が驚きの声を上げて風になって消えてしまった。

まだ陸についてもいない。海の上だ。

鳳凰がいなくなり、レティ達は落下する。


(この高さから海に落ちたら、地面に叩きつけられるのと変わらない!)


リックは焦る。だが、体に電撃の痺れが残っていて鳳凰を再生させられそうにない。

鳳凰が消えたのはユーシュテにも見えていて、落下する三人を見て檻を掴む。


「ディノス!!リチャード!!レティ!」


(リック様、ディノス様……)


レティは目を閉じてリックに身を寄せ、シャツを握りしめた。


(このままじゃ……皆、夜の海に落ちちゃう)


真っ暗な海に落ちることの危険性くらい、教えてもらわなくてもわかる。

獰猛な海の生き物が近づいても目に捉えにくいし、戦うフィールドとしては最悪だ。

それに漂っているだけだとしても、船から見つけてもらえないかもしれない。


(何とかしなきゃ)



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