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再逢~again~5

何度も何度も唇で久々の愛を確かめ合って、やがてゆっくり離れた。


「綺麗な場所ですね、ここ」

「ああ。偶然見つけたんだ」

「リック様の偶然の力は、いつもすごいですね」

「そうか?」

「そうですよ。初めてお会いしたとき、偶然リック様がおじ様の酒場にいらっしゃらなかったら、こうして一緒にいさせて頂くことも出来なかったんです」

「それは……。無意識に、将来一緒にいるレティを探してたのかもしれないぞ?」

「だとしたら、とても嬉しいです」


リックの左腕に両手を軽く添えて、レティは笑った。

そのレティの頬を触ったり髪を指に巻いて遊んだりしながら、リックはあることを思い出した。


「そう言えば、ポストシーガルがマスターの手紙を折り返し運んできてたぞ」

「あ!」

「もう二週間くらい経つ。早く返事を出さないとな?」

「はい!……って二週間ですか?私、どのくらい寝ていたんでしょう?」


あれ?と、人差し指の先を唇に軽く乗せてレティは首を傾げた。


「戻ってきてから三週間くらいだ。体が使い果たした力を取り戻すのに、眠っていたようだ」

「なら、ユリウス様たちやサラ様は……」

「魔女は自分の住む土地を長く空けるわけには行かないと、翌日には戻ったらしい。ユリウス達は数日後だな。船長だから、長期間留守にするわけにも行かんだろう。それでもちょくちょくレティの様子を見に来てたぞ。あれは……」

「?」

「俺と同じ目をしてた」

「リック様とユリウス様が、ですか?」

「そうだ」


よしよしとレティの頭を撫でてやりながら、リックは答えた。


(あの様子は……レティに惚れたと自覚したな。礼儀は弁えている奴だから、セリオと違って無闇に俺たちの間に入り込んだりはしないだろうが……)


「同じ出身のお二人だからですかねぇ?」


リックの言うことが良く分かっていないまま、レティは言った。


「うーん。どうだろうな。好みは違ってたはずなんだが」

「何のお好みですか?」

「色々」


また反対側に首を傾げたレティのこめかみにキスをして、質問の答えを適当にはぐらかした。






思う存分青い空に映える景色を見て、そしてリックと共に船に戻った。

しばらく歩いていなかったせいで足元が覚束なく自分でも驚いたが、支えてもらいながらゆっくりゆっくり進んでいくのは、目覚めた実感をより強くしてくれた。

甲板まで上がりきったとき、疲れてしまって立ち止まって休んだ。そうしたら、ちょうど倉庫から食材を運んできたジャンと会った。

どことなく懐かしい故郷の養父を思わせる大柄なこの男は、立っているレティに気づき、木箱を床に置いて目に涙を浮かべながら抱きしめてくれた。


「お嬢ちゃん、ついに目が覚めたんだね」

「はい。ご心配お掛けしました」

「良いんだ良いんだ。頑張ったんだから。でも何日もお嬢ちゃんの姿が見えないと、やっぱりいつもと違う船のような気がしてな。きっと他の奴等も喜ぶよ」

「ジャン、レティに何か作ってやれるか?」

「勿論ですよ、船長」


リックに親指の腹を向け、ジャンは頷いた。




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