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再逢~again~3

「レティアーナはきっと、貴方の後ろでなく隣を歩きたいんですよ。守られるばかりじゃなくてね。望みは『二人で助け合い』たい。守られるときは守られ、助けられるときは助けたい。そうでなければ、危険を省みずに行動したりしないでしょう?分かりませんか?」

「そうそう。俺それが言いたかった。セリオのお陰でスッキリしたぜ」

「どうも」


セリオはユリウスへ頭を下げ、それからフードを両手で引っ張った。


「でもそんな鋭いところに気がつくとは、まさに野性的直感で行動してるマスターですね」

「あ?」

「褒めたんですよ」

「おお、そうか」


セリオの言葉をよく考えずに、ユリウスは素直に頷いた。


「悔しいけど、今はまだレティアーナの貴方を想う気持ちが強いようです。だけど、変わっていく彼女の心の変化を見落としてると、隙をついていつでも奪いにかかりますよ」

「そりゃ困るな」


リックは眉を下げて笑った。


「確かに手出ししないで見守ってるだけって辛いときもあるけど、それも一つの強さや優しさじゃねーの?」

「そうだな。お前は良いことを言うようになったな」

「へっへー。だろ?」


頭の後ろで手を組み、ユリウスは笑った。


(ユリウスは……本当に太陽みたいな奴だな)


静かにやりとりを見ていたディノスは、口に出さずに密かに思った。







ユリウス達は自分達の船に戻ったが、ちょくちょくレティの様子を見に来ていた。

レティは相変わらず眠ったまま。

リックを始めとしてディノスやユーシュテは勿論、ジャンやクルー達も毎日見舞っていたが、藍色の綺麗な瞳を見ないままあと一週間で一ヶ月が過ぎようとしていた。

そんなある日、朝にリックは医務室を訪ねた。

レティのベッドから、小さな話し声がする。カーテンを開けたら枕に小さいユーシュテが座って、話しかけているようだった。


「何か良い夢見てんのー?」

「ユーシュテ」


リックがカーテンの中に入り、ユーシュテが顔を上げた。


「こうして話しかけてたら、声、届くと思う?リチャード」

「レティは聞こえないふりする奴じゃない。きちんと聞いてるさ」

「そうよねぇ……。そろそろ目、覚ましても良いんじゃないのぉ……?」


膝を抱えて頬を乗せ、ユーシュテはレティに言った。返事は返らない。


「レティは外に連れ出しても平気なのか?」

「長時間でなければ大丈夫です。初めの頃よりは、抵抗力も正常に近づいてきていますから。念のため、数時間にしてください」

「分かった」


カーテンの向こうからの船医の許可に頷き、そしてユーシュテがリックを見上げた。


「どこ行くの?」

「考えてない。ただ、ずっと同じ場所の空気を吸うよりは、外に連れ出したら何かの刺激になるかもしれないと思ってな」

「効果、あるといいわね」

「そう願ってる」


点滴に頼りきりで少し痩せてしまった頬を、リックが手の甲で優しく触った。


「あと数時間で島につく。そうしたらレティ、少しだけ出掛けよう。二人きりで過ごそう」


それだけ言い、名残惜しげにしながらリックは出ていった。ユーシュテだけが残る。


「レティ。大好きなリチャードと、ずっと言葉交わさないままで良いの……?心配してるわよ。彼」






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