表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/451

天使の鱗片と決意5

男が持っていたのは銃。銃口が此方に向いている。反射的に身を竦める。


「ごめ……なさっ」

「別に謝って欲しいわけじゃねぇんだよ?」


レティの声を聞き、男が呆れたような笑いを浮かべた。


「殺しゃしねぇから、安心しな」


銃口が天に反れ、パンという音ともに放たれた。

まだ明るい空に太陽とは違う閃光が、花火のように散る。


(これは……仲間を呼ぶ合図!)


閃光の意味が分かり、背中が冷えた。


(助けなんか待ってたってしょうがない)


レティは男と視線を合わせた。


「ん?」


今までと違う目付きに変わった少女を見て、男が妙な顔をする。


(覚悟を……)


ジョアンは街で店の修理や買い出しに忙しいはずだ。リックなんか何処にいるのかすら分からない。


(自分の身は、自分で何とかしなきゃ)


横目でチラリと海を見た。広がるのは穏やかな波。

ギュッと目を閉じて、唇を噛み締めた。


「あなた達に捕まるくらいなら、飛び降りるのなんて怖くないわ!」


逃げ場が無いことにたかをくくり、レティを掴む男の力は弱かった。

レティはその拘束を振り切って、有らん限りの力で男の胸を押した。


「な……っ!」


代わりに細い体が弓形に反り、岬を離れた。男が慌てて手を伸ばす。


(海は怖くない。ここにはそう、……お父さんとお母さんもいるんだから!!)


重力に素直に従い、体が水面を目指して落下する。

自分の体が風を切るヒュウッという音に紛れ、レティの名を呼ぶリックの声を聞いた気がした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ