表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
227/451

それぞれの決意3

リックは船員の間を歩き、レティのすぐそばに膝をついた。


「ありがとう、レティ。もう大丈夫だ」

「でも、倒す対処法が今はないって。どうすれば追い出せますか?」


額に汗を浮かべながらレティが聞く。壁はたまに亀裂が入り、それが修復されると繰り返していた。


「全員中に入れ!」


クルーや船医から話を聞いたディノスが指示を出す。


「ここは俺とリックで何とかする。人が多いほど被害の出る可能性が増える」


バタバタと足音がたくさんして、クルーは中に入った。甲板には三人が残る。


「レティ、壁を解いていい」

「だけど……!これがなくなってしまったら」

「大丈夫だ。取り敢えず、風で船の外に飛ばそう」


リックはレティの背中に胸をくっつけて、抱きしめてくれる。


「もう十分だ、レティ」


どの道ほぼ限界だった。攻撃される度に壁の波は大きくなり、また亀裂が入った。もう修復するだけの気力がない。亀裂は上下左右に広がって大きくなった。

リックは眼帯を捨てて魔法陣を出し、鳳凰を呼び出すタイミングを見計らう。ディノスは離れた場所で銃を構えた。


「ごめんなさい。もう……」


レティの気力と集中力が切れた。

パアァン!!!ガラスが割られたような音と共に、光の壁が割れて飛び散って消えた。

リックはレティを抱きよせて立ち上がり、鳳凰を呼び出した。

二人を守るように螺旋状に風の柱が立ち、リックの目から出た風で頭上に鳴き声を上げて鳳凰が現れた。

左手でレティをしっかり寄せ、風が切れた瞬間に襲いかかってきた死傀儡の腕を剣で受け止める。片方の手がレティに向かい、後方から横に移動してディノスが銃弾を撃ち込んで阻止する。


「うがぁああ!」


驚いて死傀儡がのけ反る。

リックが後ろに下がるため、敵と向かい合ったまま下がろうとしたが、気を持ち直したらしい敵の手が再び伸びる。

レティが身を竦め、リックの服を掴もうとした腕に黄色に濁った爪が掠めた。


「きゃっ!」


距離を取ったら間に鳳凰が入った。

羽ばたきで風を起こし、進行を阻む。

負けじと死傀儡が切り裂きに掛かるが、傷つけられた箇所が風に変わるだけで少し経ったら再生される。


「そいつはほぼ不死身だ。この船から追い出してくれ!」


リックの言葉を聞いた鳳凰は爛れた死傀儡の肩に爪を食い込ませた。飛んで爪を放し、宙に放る。

それから上に飛び上がって角度を変え、自らが旋風となって回転させた体ごと死傀儡にぶつかった。

空中で風に押されては踏みとどまることなどできない。死傀儡は飛ばされて海に突っ込んだ。

飛沫の上がったところの上で風が切れ、鳳凰が姿を見せた。


「何とか追い払えたか……」


リックは安堵の息を吐き、ディノスは銃を服の中に入れる。リックはレティを見下ろす。


「大丈夫か?」

「はい」


レティはリックから離れて、掠り傷のついた腕を反対の手で押さえた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ