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メロメロBaby Princess3

生き恥を晒すとはまさにこの事。


「もー……、いやぁーっ」


街の中心部で、二人の男の嘆きが重なる。

セリオの作った土の中に、顔以外の全身をガッチリ閉じ込められた犯人たち。

最悪なのはそのデザイン。

裸丸出しな女のマネキンが尻と胸を突き出したセクシーポーズをする、その中にいるのだ。


しかも、『変態な私たちを見て♡』等と言うふざけた文字の書かれた岩のプレートを首からそれぞれ下げており、いたたまれなさに涙を滝のように流している。


ユリウスは二人を指差して、お腹を抱えて笑い転げた。


「なんつーものを出すんだよ……」


リックは舌を出すセリオの悪巧みに呆れ返り、悪い影響を与えないようにレティの目を手で隠した。






半月ぶりの再会。四人でお昼を食べながら雑談をしたあとに、ユリウス達は別の用事があるからとのことで別れることになった。


「今日は助けていただいてありがとうございます。……もう少し、気をつけるようにします」


最後を小さな声で言えば、ユリウスは脱力した笑みを浮かべた。


「リック兄が今のままそれで良いってなら、しょうがねぇだろ。目の届くところにいて、しっかり守られときな」

「はい……」


ユリウスは、わしゃわしゃとレティの頭を撫でた。


「レティアーナが望むなら、僕も守ってあげるよ?」


いつの間にかあの大人の人間と変わらない姿になったセリオが、指先をレティの顎に添えて目を細めて笑う。

まだこの姿に慣れないレティは、耳まで真っ赤になった。

その反応を見たリックとユリウスは、同時に声を揃える。


「近づくな!!」


レティはリックに抱きしめられ、セリオはフードをユリウスに引っ張られて引き離された。


「マスター、冗談ですよぉ」

「お前の冗談は笑えないんだよ!」


ポカッとセリオが軽く殴られた。


「んじゃ、リック兄。またなー」


レティはリックと一緒に、二人へ手を振って見送った。


「レティ、一旦船に戻って良いか?」

「はい」


リックに言われ、手を引かれて船を停めてあるところへ戻った。

階段を上って甲板に立ったとき、リックが不意に足を止めた。


「リック様?」


レティの手が引っ張られ、抱き寄せられる。見上げたリックの眉間がピクッと動き、甲板の床を蹴った。


「きゃっ!」


船内に続くドアを開け、飛び込む。閉まったドアに、タンタンタンという何かがぶつかる音がした。

ドアに背を向け、羽織ったジャケットと腕の内側にレティを庇うように立つリックは窓から外を見ている。


「レティ。すまないが、しばらく船内に居てくれ。俺が良いというまで出るな」

「どなたかが攻撃を……?」

「恐らくな。良くない気配がする」


リックが腰に下げた剣の柄に手をかけてレティから離れたとき、船の見張り台からの警告の鐘が鳴った。




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