表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
207/451

妖艶な悪魔の仕返し8

「自分から誘っておいて、僕のことが分からないんですか?」


銀髪から覗く赤い瞳が、痛みを堪えて潤っている。


「セリオくんなの!?」

「そうですよ」


セリオは呆れ顔でため息をついた。


「寝込みを襲おうなんて、いい度胸してんじゃねぇか?しかもリック兄の船で。どういうつもりだ?」


ユリウスがセリオの襟に両手を掛け、引っ張り上げる。


「船長として、このままお前を放っておくわけにはいかねぇぞ」

「挙げ句風呂で堂々と女の裸見るなんて、処刑よ。処刑。取り敢えず目は潰すわ」


ユーシュテも目を尖らせ、怒りのオーラで凄む。


「……そんなに熱くならないで下さいよ。いつまでも子ども扱いされるから、ちょっと驚かしてやろうと思っただけです」

「悪戯で済む限度越えてんぞ……」


反省のない態度に、ユリウスが歯を剥き出す。


「そりゃ、半分悪戯で半分本気だからですよ」


セリオの赤い瞳がユリウスの肩の向こう、リックを捉える。


「誘ってきたのは彼女です。仕方ないですよね?」

「!」

「それから、マスター。貴方が自分の気持ちに気づくまでに、僕は一足先に攻めますから」


それだけ言ってセリオはそっぽを向いて舌を出した。

リックとユリウスの頭に石が当たったように、カチンと熱が上る。二人同時に拳を作って叫んだ。


「やっぱこのガキ、生かしちゃおけん!!!」


セリオはニヤリと笑い、体を縮めた。


「レティアーナぁ……。怖い」

「セリオくん」


子どもの姿に戻り、レティの腰に抱きついた。キラキラと潤ませた目に、レティの同情心が煽られる。


「お二人とも、もう許してあげてください……。セリオくんが泣きそうです」

「お前は何回騙されてんだ!本当にボケ女だな!!」


ユリウスが突っ込んでセリオを引き剥がそうとしたら、襟を掴まれた。次にセリオも同じように掴まれる。

我慢の限界を超えたリックが二人を引きずって連れていく。


「リック様……?」


レティは床に手と膝を付いてポカンとし、ユーシュテは肩を竦めて三人を見送った。


「リ、リック兄?」


ユリウスがリックを見上げたら、昼間と比ではないくらい、ドラゴンよりも恐ろしい形相をしていた。

黒いオーラが怒りの度合いを物語っている。


「ヒッ!」


甲板に着き、リックは腕を振り上げた。


「お前ら……、自分の船に戻れぇッッ!!!」

「あぁああー」


叫び声を上げながら、ユリウスとセリオが空に舞った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ