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妖艶な悪魔の仕返し6

風呂上がりに髪の水気をタオルで拭き取りながら、レティはセリオに話しかけた。

ユーシュテはさっさと先に上がってしまっている。


「ねぇねぇ、みんな今日はここに泊まるんでしょ?」

「あの酔い潰れ方だとそうなると思います」


リックの船とユリウスの船は、船同士がぶつからない距離で横付けしてある。

宴会は此方で行われているし、気候も少し暑いくらいなので甲板に集まっているメンバーは、そのままごろ寝になりそうだ。


「そうしたらセリオくん、私と一緒に寝る?」


セリオの予想通りの誘いが来た。少し下を向いて口の端を上げ、そしてその笑みを引っ込めて顔を上げた。

フードを手で引っ張って、上目遣いにレティと視線を合わせる。


「子ども扱いして……。後悔しても知りませんよ?」

「後悔?セリオくんが入ったくらいじゃ、ベッドから落ちないから後悔なんてしないよ」

「そしたら、どうしてもって言うなら一緒に寝てあげなくもないです」


(キュン……。可愛い……)


生意気な言葉遣いとは正反対のくりっとした赤い瞳とのギャップが、レティの心を擽った。







レティは夜着に着替え、一旦甲板に出てまだ飲んでいたリックにお休みを告げてから部屋に戻った。

同じく風呂上がりらしいユーシュテは、レティが去った後にマグカップを持って食堂から出てきた。


「ディノスなら部屋に戻ったぞ」

「そんなこと、どうでもいいわよ」


苛々とした口調でユーシュテは言った。


「何怒ってんだ?」

「リチャード、あの子どもには気をつけなさい」

「子どもって、レティと仲良くしてたあの子か?セリオだっけ?」

「レティは気づいてないけど、何か企んでるわ。うかうかしてたら手出されそうな雰囲気よ」


リックは吹き出した。


「手を出すって……。十歳くらいの子どもだろ?」

「笑い事じゃないわよ!」

「その大袈裟な予想はどっから来るんだ?」

「女の勘よ!」


二人のやり取りを聞いて、涎を垂らしながら寝ていたユリウスが目を半分開けた。


「んあー?俺寝てたのか……」


緩んでいた口元を拭い、伸びをした。まだ眠そうだったが、胡座をかいて目を擦りながら甲板を見回す。


「セリオは?」

「風呂に入ったわ。そのあと一緒に寝るんじゃないの?レティは相当気に入ってたみたいだから」

「ぶっっっ!?」


それを聞いて、ユリウスの目が点になった。眠気が一気に吹き飛ぶ。


「きったないわね!唾飛ばさないでよ!」


ユーシュテが睨みつけるが、無視してユリウスは彼女の腕をそれぞれ掴む。


「はああ!!?風呂って、ボケ女とか!」

「そうよ。てか、軽々しく触んないで!」


バシッと音をさせ、ユーシュテは乱暴にユリウスの手を振り払う。ユリウスは頭を抱えた。


「セリオの奴、何考えてんだ!?」

「何焦ってんだ。相手は子どもだろう」

「何言ってんだよ、リック兄!あいつガキじゃねぇぞ!」


ユリウスが、今度はリックの腕を掴んで揺さぶる。彼の口から出た次の言葉が衝撃だった。


「セリオは小人と人間の混血児だ。だから普段はあの身長でも大きくもなれるし、年齢は二十歳を迎えてるぞ!」

「あ?」


暫しの間、沈黙が流れた。そして、三人の声が揃う。


「あんの、マセガキぃ――っっっ!!」


(レティが危ない!)


リックたちはバタバタと船内に駆け込んだ。



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